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Tag: ship design

目前に迫る設計の未来:3Dモデルベース承認をコンセプトから現実へ

造船所、設計者、船級協会の誰もが、3Dモデルベース承認(3D MBA)は、複雑化する環境下で効率を高め、脱炭素化移行に向けた課題に取り組む造船所の未来に不可欠な要素であると認識しています。もはや遠い将来の話ではなく、世界中のさまざまな造船所や船級協会が、今日すでに3D MBAの実現に取り組んでいます。この画期的なプロセス実現のために、NAPAがどのように業界のパイオニアと取り組んでいるかについてご紹介します。 新たな挑戦は、新たな働き方を求めています。脱炭素化、海上安全に関する規制強化、船舶の自律運航の台頭、時間の制約など、あらゆる側面から変化がもたらされ、複雑さを増しています。 3D MBAの目的は、簡単に言えば、船舶の設計に使用した3Dモデルで船級規則の確認や計算を可能にすることです。これは、造船所は船級承認のために3Dモデルを2D図面に変換し、変更を適用するために再び3Dに戻す必要がある現在の標準的なプロセスからの大きな改善点です。2Dと3Dの間で何度も変換する必要がないため、時間の節約になるとともに、エラーの発生も防ぐことができます。 さらに、現在の標準的なプロセスでは、造船所の技術者が3Dモデルを変換して関連情報を抽出し、規則計算やFEM解析に使用するプラットフォームが要求するフォーマットへの入力が必要です。これには多くの手入力や微調整が必要となり、大変時間がかかります。すなわち、3Dモデルをシームレスに変換し、船級協会が提供するエンジニアリングツールでの使用を可能にすることも、3DMBAの重要な要素となっています。 このコンセプトをどのように現実のものにするか。主要な船級協会では、3D MBAの実現に向けて、その戦略や顧客のニーズに応じたさまざまなアプローチをとっています。大きく分けて2つの道が考えられます: Application Programming Interface (API)は、船級協会がNAPA APIを通じて3Dモデルに直接アクセスし、そこで規則の確認や計算を行うために必要な情報を取得するものです。韓国船級協会(KR)や日本海事協会(ClassNK)が採用しているこの方式では、造船所と船級協会が3Dモデル上で直接情報や計算結果を交換することができるため、3Dモデルが船舶設計に関するあらゆる情報が蓄積される「信頼できる唯一の情報源」となります。   Open Class Exchange (OCX) は、3D MBAの業界標準ファイルフォーマットとして開発されました。造船所が設計に使用するソフトウェアと、船級協会が規則の確認や承認に使用するプラットフォームの橋渡しをするものです。NAPA Designerで生成されるOCXフォーマットは、3Dモデルからすべての関連情報を抽出し、船級協会のソフトウェアが読み取れるようなフォーマットに変換します。これは、Bureau Veritas(BV)とDNVが採用しているアプローチで、他の主要な船級協会もOCXコンソーシアムに参加しています。   Bureau Veritas(BV)とDamen Engineering – 最初の3Dマイルストーン通過  今年初めに、2,500 m3の浚渫船がDamenの船舶として初めて3Dモデルによる設計、審査、クラス承認を受けました。これはNAPAとBVとの1年にわたる協業の成果です。この技術的な飛躍は、OCX標準ファイル形式を使用して達成され、BVは社内ツールであるMARSとVeriSTAR Hullを使用して規則の確認と計算ができました。その結果、2次元図面に変換することなく、同じファイルフォーマットでシームレスに納品まで完了できました。 この新しいプロセスは、素晴らしいスタートを切りました。最初の船舶設計から、3D MBAはその約束を果たし、Damenのチームは、船級承認のためにコンセプトを2D図面に変換し、変更を適用のために再度3Dに変換する必要がなくなったため、貴重な時間を節約できるようになりました。船級協会と造船所間のコミュニケーションが目に見えて容易になり、設計審査もより効率的かつ確実に、またエラーのリスクも減少しました。 重要なのは、3D MBAが安全性を損なうことなく船級承認プロセスを合理化したことです。これは、すべての基準や規則を満たしていることを確認するために、同じように厳格なチェックが行われたからです。この最初のプロジェクトの結果は非常に重要で、Damenはすでに1000m3と4000m3の2隻のホッパー浚渫船を含む、さらなる設計にこのプロセスを適用しています。   ClassNKと日本シップヤード – 「信頼できる唯一の情報源」の開発 もう一つの方法であるNAPAのAPI(Application Programming Interface)は、ClassNKと日本シップヤードがシームレスな統合を実現するために使用され、3Dモデルは設計やレビューの過程で常に最新に保たれた船舶情報の中心的存在として維持されました。 本プロジェクトでは、船級承認プロセスの効率化と3D MBAに関連する実用的な問題を解決するためのツールやプロセスの開発に焦点を当てました。船体構造設計を最初のターゲットとして、NAPA DesignerとClassNKの構造強度計算プラットフォームPrimeShip-HULL(PSH)との統合システムを開発し、規定規則計算や有限要素(FE)解析に対応しました。  プロジェクトでは、バルクキャリアとオイルタンカーのサンプルモデルで試験を行い、新しい統合システムの有効性が立証されました。具体的には、作業の重複をなくし、構造図と構造モデルの設計情報の一貫性を確保する点で大きなメリットがあることが確認できました。 また、NAPA 3Dモデル所有者が、すべての関係者に安全かつ簡単にモデルのレビューやコメントの共有を可能にするWebベースのアプリケーション、NAPA Viewerの有効性立証も、このプロジェクトの重要な成果です。NAPA Viewerは情報の中枢として機能し、3D MBAを実現するだけでなく、船舶設計に関わるすべての関係者間の情報共有やコラボレーションをより良くサポートします。また、3Dモデルの利点と従来の2D図面の利点を組み合わせた自動アノテーションツールにより、確認を行う際に設計情報を迅速かつ直感的に発見できるため、新しいプラットフォームは現在の2Dベースのプロセスと同等かそれ以上の効率を実現可能なことが、試験により立証されました。   Korean Register […]

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NAPAソリューションを体感し、より多くの気づきを

NAPAは、常にお客様との柔軟なコミュニケーションを大切にし、30年以上にわたり継続的にソリューション開発をしてきました。NAPAデザインソリューションズは、このような活動の一環として、船舶設計のプロフェッショナルの方々を直接訪問し、交流する機会を得ました。     お客様と直にお会いしてコミュニケーションをとることで、お互いの相乗効果が生まれます。 「ユーザー様と直接お会いして、貴重な意見を伺ったり、実りある議論をすることはとても重要です。私たちのユーザーミーティングやワークショップを通じて、お客様のNAPAを使用した日常業務の生産性を向上させます。」– NAPAデザインソリューション プロダクトマネージメントダイレクター  Olli Puustinen氏 お客様とお会いすることの価値を知っている私達は、NAPAユーザーの皆様と情報や知識を共有するために、毎年NAPAユーザーミーティングを開催してきました。今年も例外なく、5月末にヘルシンキでNAPA User Meeting 2023を開催いたします。Re-inventing Ship Design Togetherというテーマのもと、海事産業が抱える様々な課題を共に解決していくために、NAPAのソリューションがどのように課題解決をサポートできるのか、そして今後の可能性について、各国のお客様からの様々な事例を交えて議論します。 「NAPAユーザーミーティングは、造船所、船級協会、エンジニアリング会社、船会社から幅広い業界の専門家が集まる、当社にとって一年のハイライトイベントの一つであることは間違いありません。今回も船舶設計に関する多くの話題を取り上げた興味深い議論や発表が期待されます。」– NAPA デザインソリューション副社長 Mikko Forss氏 今回のNAPA User Meeting 2023では、世界中のNAPAriansやNAPA Familyと出会い、業界の動向や課題、開発・展開されているソリューションの話を聞くことができます。 NAPAユーザーとの交流や、興味深いプレゼンテーションや体験型ワークショップなど、3日間にわたる充実したプログラムを通して、より多くの知見を得ることができるはずです。ぜひご参加ください。

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NAPAとElomatic:20年にわたる協業成功の秘密

優れた船舶建造の背景には、優れたチームが存在する。そのチームを更に優れたものにするのは何か? 良好な協業とデータ駆動型ソリューションの構築は、より迅速な設計、より円滑なコミュニケーション、より多くのイノベーションを可能にします。このような基盤が確立されると、より安全でより環境に優しく、より効率的な船舶を設計することが飛躍的に容易になります。 プロジェクトごとに業界を変革していくNAPAとElomatic社は、20年以上にわたって未来の船舶の創造に共に取り組んできました。このチームが船舶設計へのアプローチを継続的に革新し、レベルアップできるよう、私たちは積極的に耳を傾け、適切な質問を投げかけ、あらゆるステップでチームをサポートしてきました。 この度、Elematic社におけるNAPAの使用経験、及び顧客が将来の戦略的課題に取り組むのを支援する同社のビジネスにNAPAが与えた影響についてこの数十年を振り返るべく、Elomatic社のRami Hirsimaki氏(マリン&オフショア担当上級副社長)、Markus Jokinen氏(マリン&オフショア担当デザインマネージャー)、Elias Penttinen氏(マリン&オフショア担当コンサルティングエンジニア)に話を伺いました。 Elomatic社は、ヨーロッパを代表するエンジニアリングおよびコンサルティング会社として、52年の歴史を持ち、さまざまなプロジェクトや船種に対応しています。現在、Elomatic社が最も力を入れている課題は、グリーン・トランスフォーメーション(GX)に対応した将来性のある船舶設計です。 燃料の将来計画 低炭素・ゼロカーボン燃料は、海運のGXに欠かせないものですが、それが船舶設計にどのような影響を与えるのでしょうか。 代替燃料の中でもアンモニアとLNGは特に必要な量が多いため、さまざまなオプションを素早く検討する方法が必要です。NAPAはそのための大変有用な選択肢です。 Elomatic社マリン&オフショア部門デザインマネージャー、Markus Jokinen氏 Elomatic社が日本郵船株式会社(NYK)向けのアンモニア対応のLNG燃料船の新船隊を設計することになったとき、この課題の理解は不可欠でした。この新船隊は、バルクキャリア(ポストパナマックスとケープサイズ)2隻、自動車専用運搬船(PCC)1隻、超大型原油タンカー(VLCC)1隻からなるもので、効率や安全性を損なうことなく、グリーンエネルギーで駆動する必要がありました。 アンモニアのようなカーボンフリーの船舶用燃料は、業界の脱炭素化を先導するものです。しかし、日本の大手海運会社であるNYK社は、この移行促進のためのGHG排出量を削減する効果的な橋渡し役として、LNGの利用方法を検討する必要がありました。なぜなら、LNG燃料船は最小限のコストでアンモニア燃料船に容易に転換可能なためです。この様に燃料を容易に転換可能であることは、同社にとって設計上の優先事項でした。   アンモニア燃料対応LNG燃料自動車専用運搬船(PCC)のコンセプトデザイン アンモニア燃料対応LNG燃料(ARLFV)超大型原油タンカー(VLCC)のコンセプトデザイン しかし、従来の燃料油に比べてエネルギー密度が低いため、代替燃料で航行するための船舶の改造や設計には、より大きなタンクの必要性など、独自の課題があります。これまではこのような課題がある場合、大抵がそれぞれの設計要素間の妥協が必要でした。また、新しい低炭素燃料の採用は、無数の可能性を生み出す一方で不確実性をもたらし、より革新的な船舶設計が要求されます。旧来の設計手法を繰り返すことはもはや目的に適わず、自信を持って意思決定を行うこともできません。 設計者やエンジニアは、安全性と効率性は譲れないと認識しています。では、エンジンの改造、安全システム、タンクのサイズや位置などの設計上の決定は、安定性や運用性にどのような影響を与えるのでしょうか? NAPA Designerでは、区画や構造物の詳細な3Dモデルが用意されているため、Elomatic社はこれらの懸念に対応し、タンクの形状、サイズ、配置など、改造作業やコストを最小限に抑えつつ、効率や安全性を妥協しない設計オプションを可視化することができました。 NAPA Steelの構造モデルのような3Dモデルは、図面、フィードバック、計算、解析がすべて行われる共通のソフトウェアベースを提供し、すべての結果にあらゆる変更が反映されることを保証します。さらに、ウェブベースの情報共有プラットフォームにより、レビューや承認の効率化を図ることができます。例えば、NAPA Viewerは、船主、協力会社、船級協会が必要な情報にリアルタイムでアクセスできるようにし、同時に各関係者の知的財産権を保護します。 モデルの作用 複雑化する設計プロジェクトにおいて、NAPAを使用する利点は、必要なデータをすべて一ヶ所に集め、意思決定や代替燃料への移行に必要な明確さをもたらすことです。Markus氏は、「特にコンセプトの段階では、さまざまな選択肢をより簡単にかつ迅速に検討できます。」と述べています。 例えば、代替燃料タンクの設置を容易にするために、設計者はデッキの下部空間を割り当てるべきでしょうか?その場合、貨物容量にはどのような影響があるのでしょうか?アンモニアのエネルギー密度が低いことを考慮するとどうでしょう?タンクの設計は効率にどのような影響を与えるのでしょうか? Elomatic社にとって、これらの質問に自信を持って答え、将来の燃料を採用した場合の影響を評価することは極めて重要なことでした。 NYK社のアンモニア対応ポストパナマックスバルカーのコンセプトデザインを制作する際、Elomatic社は、安全性と効率性を考慮し、改造コストを最小限に抑えつつ、最適な設計オプションを検討する必要がありました。これを実現にするため、我々はNAPA Steelの3D構造モデルの利用を最適化するためにElomatic社と緊密に連携しました。 3Dモデルは、船舶の設計段階から運用段階まで、安全性や運航に影響を与える膨大な情報を網羅しています。例えば、有限要素(FE)解析がその一例として挙げられます。FE解析は、船舶の設計において、モデル内の応力水準の大きさを特定する重要な役割を果たすものの、後回しにされがちです。構造設計の初期段階でFE解析を行うことができれば、技術者は新しい機能がどのように連携し、全体構造の整合性に影響を与えるかを把握することができます。NAPAのFEメッシング機能により、Elomatic社は設計プロセスの標準的な部分としてFEモデルを簡単に生成・解析し、これまで以上に早い段階で修正作業を行うことができました。 信頼できる唯一の情報源 3Dモデルが1つの「信頼できる唯一の情報源」として機能することで、迅速な設計変更と、ハイドロ計算、復原性、船舶重量推定、流力性能から船体構造、FE解析に至るまでの信頼できる解析が飛躍的に容易になります。これらは、船級承認にも利用できます。 アンモニア対応のLNG燃料「自動車専用運搬船」のコンセプトデザインを作成する際、Elomatic社のチームはNAPAの3Dモデルを使って、タンク容量や配置を変えることで船の復原性性能にどのような影響を与えるかを検討しました。さらに、NAPAの確率論損傷時復原性機能、ハイドロ計算・復原性機能、及びNAPA Steelを使用することにより、確率論損傷時復原性規則(SOLAS2020)への適合などに対して、より信頼性の高い設計チェックをより簡単かつ正確に行うことができるようになったのです。 NAPA Designerとその3Dグラフィカルインターフェースを使って、Elomatic社は、以前のテキストベースのインターフェースと新しいグラフィカルインターフェースとを切り替えることができました。これにより、特に流体力学を研究する際に、両方のバージョンが提供する柔軟性と洞察を享受しながら、より詳細で使いやすい設計プロセスを実現することができました。 この「信頼できる唯一の情報源」は、造船工学技術者や設計者、技術開発者、船級協会など、全プロセスの関係者が同じ情報にリアルタイムでアクセスしてさまざまな設計目標を追求することを可能にし、チームの働き方を根本的に変えることにもなっています。Elomatic社では、より簡単にコミュニケーションできることになった結果、作業負荷と間違いのリスクを大幅に削減し、設計スケジュール、予算、要件をより良く満たすことが可能になりました。 重要なのは、NAPA設計ソフトウェアがより俊敏で革新的な設計ソリューション基盤を築いており、複数の活用事例があるということです。 オフショアへの展開 私たちのソリューションは、一般商船にとどまりません。NAPAの設計ソフトウェアから得られるモデリング、幾何形状、復原性に関する同じ見識を利用して、Elomatic社は洋上風力発電市場での存在感を拡大しました。プロジェクトの複雑さを考慮し、Elomatic社は正確な復原性計算のために信頼できる強力な設計ソリューションを必要としていました。 NAPAの設計ソフトウェアは、浮体式洋上風力発電構造物の設計を確実かつ正確にサポートし、チームの設計意欲を満たしました。NAPAは一般商船設計と同様に、海上で簡単に設置できる即利用可能なソリューションの構築を目指すチームに、迅速で自信に満ちた行動を可能にしました。 その核となるのは、世界的なエネルギー転換の障壁を取り除くために、ソリューションの拡張性を確保することでした。 ドリームチーム 長年にわたり、定期的な話し合いと緊密な連携により、NAPAはElomatic社の改造や新造船をサポートすることができました。 NAPAのカスタマーサービスチームは、これをさらに一歩前進させます。単に設計上の問題を解決するだけでなく、意欲的な設計要件を実現するためのデジタルツールの最適な使い方について、有益で洞察に満ちたガイダンスを提供しています。 これは、未来の船舶、あるいは明日の浮体式洋上風力発電構造物は今日設計され、持続可能性、安全性、効率性をDNAに組み込む必要があるという認識からきています。より協力的で革新的なプロセスをいかに構築していくかが、業界の脱炭素化を左右することになります。それはすべて構想段階から始まるのです。 興味がおありですか? NAPA船舶設計ソリューションで、設計プロセスを改善することができます。詳しくはお問い合わせください。

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個船毎に代替燃料切替における安全性を予測するには?

代替燃料への切替準備には、新たなシステムの導入やエネルギー供給ラインの確保だけでなく、これらの新しいシステムが船舶設計や運航安全性、航海計画など他の側面にどのような影響を及ぼすかを理解することも必要です。NAPAのソリューションは、これらの複合的な要素をシミュレーションすることで不確実性を取り除き、お客様の本船管理をサポートし、代替燃料に対応したスムーズな体制構築を支援します。   本件に関するお問い合わせ先:

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