Tag: ship design
ブリッジに乗り込んで ― 船舶設計学生からNAPAインターンへ
NAPA Finland本社にて受け入れた学生Trainee(Oskar Mewes)の記事をご紹介します。 OskarはドイツのNarval Architectureの学生で、大学でNAPAソフトを使った経験から、2024年にNAPA FinlandでTraineeとして経験を積みました。カスタマーサービスチームの一員として、実際の課題に取り組みながらソフトの理解を深め、信頼と協力を重んじる職場文化の中で成長しました。この経験は彼の専門知識を広げ、将来のキャリアに大きな影響を与えた、とOskarは述べています。 詳細はこちらをご覧ください。
Read Article6月 4, 2025
船舶設計の新時代:NAPAのノードネットワークがもたらす革新
NAPAは次世代の船舶設計プラットフォーム – NAPA Engineerの開発を進めています。これは、これからの船造りをもっとスムーズに、そして柔軟にするための新たな取り組みです。 この新しいプラットフォームの中心には「NAPAノードネットワーク」と呼ばれる革新的な仕組みがあります。これによって、設計の自由度がぐっと広がり、より効率的で直感的な船の設計が可能になります。 なぜ設計手法を変えるのか? 船の設計はますます複雑になってきています。これは、新しい計算方法、適用可能な新しい技術革新(例えば温室効果ガス排出削減のために必要なもの)、そして安全面や環境面での規制要件の強化などが背景にあります。こうした要素に対応するため、設計者にはこれまで以上に多くのことが求められています。 このように変化し続ける状況の中で、特定の設計要素における船舶設計の性能を向上させることは非常に難しくなっています。なぜなら、設計に関する判断が他の分野にどのような影響を与えるかを予め正確に予測することがほぼ不可能だからです。 その結果として、設計上のトレードオフは、時間的な制約から代替案を十分に検討することなく決定が下されることがよくあります。全体を見渡す設計手法やアルゴリズムによる最適化は学術の世界ではよく知られていますが、実際の産業現場ではあまり活用されていません。 一方で、ソフトウェアの使いやすさを重視する考え方(ユーザーエクスペリエンス(UX))はこの10年で大きく進化しました。たとえば、操作が直感的でわかりやすい設計画面や、複雑な作業を簡単にできる仕組みなどがその一例です。こうした新しいUXの考え方や技術とともに、関数型プログラミングやローコードといったアプローチもエンジニアリングソフトウェアの分野で注目を集めています。UXの向上とローコードの導入は、設計の明確さを高め、メンテナンスの手間を減らし、信頼性の高い船の設計解析を実現する上で重要な役割を果たします。 ノードネットワークの登場 NAPAのノードネットワークは、設計の複雑さや多様化するニーズに応えるための新しいアプローチです。NAPA Engineerでは、船の3Dモデルを中心に、設計に関わる様々な要素をノードネットワークとして整理しています。これは、特定の計算や作業を行う「ノード」と呼ばれる小さな機能のかたまりを使って、設計プロセスを組み立てていく仕組みです。これらのノードは、つなげたりグループ化したりすることで、複雑で多分野にまたがる計算も扱えるようになります。それでいて、設計者が全体を見渡しやすい構造になっているのが特徴です。 ノード、ノードグループ、ノードネットワークのライブラリを活用することで、設計者はプロジェクトや企業のニーズに合わせて柔軟に設計の流れをカスタマイズすることができます。 ノードネットワークには次の特長があります: 複雑なシステムを視覚的かつモジュール的に構築できる ノードライブラリを使って、再利用やカスタマイズがしやすい 分野間のデータの流れや依存関係が明確に見える 全体を見渡した設計やアルゴリズムによる最適化にも対応 設計の考え方をノードネットワークとして整理することで、設計者は設計プロセス全体を把握しやすくなり、必要に応じて部分的にまとめたり、自動化したりすることも可能になります。最終的には、NAPA classicと同様に、必要なすべての船舶設計計算をカバーしながら、柔軟なカスタマイズもサポートします。 全てのエンジニアに力を与える仕組み 経験豊富な設計者が高度なカスタムノードを作成できる一方で、初心者にも扱いやすいように工夫されています。直感的に使えるグループノード、柔軟なユーザーインターフェース、そしてあらかじめ構築された機能ブロックのサポートにより、誰でもスムーズに使い始めることができます。このように、高い機能性と使いやすさのバランスを大切にしていることで、ノードネットワークはユーザーの成長に合わせて進化できる、スケーラブルなプラットフォームとなっています。初期のコンセプト設計から、規制対応、性能最適化に至るまで幅広い段階で活用できます。 また、企業固有の手法や基準を取り入れることもできるため、社内での設計の標準化にもつながります。その結果、ミスの削減やチームや分野を超えた協力の促進にも貢献します。 事例紹介:サービス運用船(SOV)の設計 このアプローチの有効性を確認するために、NAPAチームはノードネットワークを用いた実際のケーススタディを実施しました。具体的には以下のような内容です: サービス運用船(SOV)のパラメトリックな3D製品モデルの作成 非損傷時及び損傷時の復原性計算の自動化 船体形状の変形と、それに伴う形状および復原性の更新 これらを一つのワークフローとしてつなげることで、設計チームは設計変更を迅速にテストし、計算を再実行し、性能を比較することができました。すべてが一つの統合された環境の中で完結します。 このテストケースから明らかになった大きな利点は、一度ノードネットワークを構築してしまえば、設計の可能性を探る作業が、幾つかのパラメータの更新だけで簡単に行えるという点です。さらに、各ノードは独立して動作し、他に影響を与えない仕組みになっているため、結果は常に一貫性があり信頼できます。これは、最適化アルゴリズムやAIを活用したワークフローと組み合わせる際にも非常に有効です。 今後の展望 NAPAのノードネットワークアプローチは、長年にわたって実績のある船舶設計の手法と、現代的なソフトウェアの考え方を組み合わせたものです。その結果、船舶設計者がよりスマートに、より速く、そして自信を持って設計に取り組めるツールが生まれました。 船の設計ソフトウェアが進化を続ける中で、ノードネットワークという手法は、次世代の持続可能で高性能な船づくりの基盤として、大きな可能性を秘めています。 このノードネットワークの考え方とその可能性は、ICCAS(International Conference on Computer Applications in Shipbuilding)で初めて紹介されました。 現在、NAPA Engineerがアルファ版で利用可能です NAPA Engineer の最新バージョンを、いち早く体験してみませんか? 現在、アルファ版が公開されており、初期ユーザーのコミュニティが少しずつ広がっています。私たちと一緒に、これからの船舶設計のあり方を形づくっていきましょう。 コミュニティに参加すると、新機能をいち早く試せるだけでなく、フィードバックを通じて開発に関わることができます。世界中の設計者やエンジニアの声を取り入れながら、NAPA Engineer はより実用的で使いやすいツールへと進化していきます。
Read Article5月 26, 2025
デジタルツインプロジェクト、パイロット試験の成功を経て次のステージへ進展
ヘルシンキ(フィンランド)/東京(日本)、2025年5月21日 ― 一般財団法人日本海事協会(ClassNK)とNAPAは、デジタルツインプロジェクトに参画する各企業を代表し、本プロジェクトフェーズ3におけるパイロット試験が成功裏に完了したことを発表いたします。 本パイロット試験では、プラットフォームの主要なビジネスシナリオにおける実現可能性が確認され、船会社・造船会社・その他の海事関係者間における連携強化に向けた「共有型デジタルツイン」の活用効果が実証されました。 試験では、運航効率の向上、コスト削減、デジタルバリューの創出といった明確な利点が示される一方で、データ管理・セキュリティ、契約構造、プラットフォーム利用料や価値評価といったビジネスモデル面での改善余地も確認されました。 本プロジェクトは、船のライフサイクル全体にわたりデジタルツインの活用を推進することを目的に、造船会社と船会社間の安全なデータ共有プラットフォームの構築を目指しています。これにより、設計段階で作成された3Dモデルを、関係者間でアクセス権を管理した安全なデジタル環境下で共有することが可能となり、設計・運航に関する機微な情報の共有における障壁解消を図ります。 このようなデータのサイロ化を打破することで、造船会社は実船の運航データを次期船の設計に活かすことができる他、船主・用船者は船隊の環境性能評価や、排出削減・コスト削減の可能性分析に活用することが可能となります。また、ウェザールーティング、風力推進、バッテリー搭載といった新技術の導入による影響を、安全性、運航性、積載性能の観点からデータに基づいて評価・予測することや、新たな装置の導入後にその性能を検証することも想定しています。 本プロジェクトには、日本郵船株式会社、同社グループの株式会社MTI、株式会社商船三井、川崎汽船株式会社、丸紅株式会社、同社グループのMMSLジャパン株式会社、今治造船株式会社、ジャパンマリンユナイテッド株式会社、三井E&S造船株式会社、住友重機械マリンエンジニアリング株式会社、旭洋造船株式会社、株式会社臼杵造船所、ClassNK、およびNAPAが参画しています。
Read Article5月 21, 2025
構造強度解析時間を50%削減 NK・NSY・NAPA、自動評価システムを更新
日本・東京ー2025年4月25日 ー 海事プレス(ニュース ー 造船・船用)にて、日本海事協会(NK)が24日、日本シップヤード(NSY)とNAPA Groupと共同で、共通構造規則(CSR)適用船の構造強度解析の自動評価システム更新版をリリースしたことが掲載されました。ぜひご覧ください。 日本海事協会(NK)は24日、日本シップヤード(NSY)とNAPA Groupと共同で、共通構造規則(CSR)適用船の構造強度解析の自動評価システム更新版をリリースしたと発表した。自動化の機能を強化し、解析や評価にかかる時間を従来のプロセスに比べて約50%削減したほか、適用船種をCSRが適用されないコンテナ運搬船にも拡張した。 3社は昨年、自動評価システムをリリースしたが、今回はさらに詳細/疲労解析のためのモデル調整や評価の試行錯誤プロセスを自動化する機能を強化した。NSYが形式知化した解析プロセスのノウハウを、NKの船体構造設計支援システム「PrimeShip-HULL」に組み込む形で進め、実設計に即したツールとして開発した。機能は、「PrimeShip-HULL」の国内ユーザー向けに提供する。 造船会社の基本設計では、構造設計のリードタイム短縮が業界の重要課題になっている。特にネックとなるのが構造強度解析で、設計者が解析結果を見ながら強度要求基準を満足するまで計算を繰り返す必要があるため、CSR適用船などでは設計期間が長期化する傾向にある。NKとNSY、NAPAは共同で、設計者が3次元CADを用いて設計を行う中で、構造強度の解析・評価が自動で実施され、必要な補強要領も反映されるシステムの構築を目指して協業を進めている。 今回の機能強化は、国土交通省の2024年度バーチャル・エンジニアリング補助事業の一環として実施した。 *海事プレスから転載の許可を得ています。 海事プレス プレスリリース:https://www.kaijipress.com/news/shipbuilding/2025/04/192404/ PDF:構造強度解析時間を50%削減NK・NSY・ナパ、自動評価システムを更新 _ 造船・舶用 _ ニュース _ 海事プレスONLINE 海事プレスURL :https://www.kaijipress.com/
Read Article4月 30, 2025
川崎重工業 – 斬新な大型液化水素運搬船で船舶設計の限界を押し広げる
このプロジェクトは、大型液化水素(LH2)運搬船というコンセプトの大きさだけでなく、川崎重工業の技術者や船舶設計者のチームにとって、まったく新しい船型設計を実現するという技術的な達成を意味する、あらゆる面において大規模なものでした。この画期的なコンセプトを実現するために、NAPAツールでどのように設計上の課題を克服したかをご紹介します。 日本の神戸と坂出に造船所を持つ川崎重工業(KHI)の造船部門は、LPGやLNG運搬船、VLCC船、潜水艦などの高価値船を専門としています。同社は、2019年に就航した世界初の液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」の建造で注目を集めました。 脱炭素経済の進展に伴い、水素(およびそれを輸送する船舶)の需要が高まる中、川崎重工は16万m3の水素を液化した状態で輸送できる大型LH2運搬船コンセプトの開発に着手しました。全長346メートル、4つのタンクを備え、水素燃焼ボイラーと蒸気タービンで推進します。 斬新な船舶設計への挑戦 このような革新的な船舶をゼロから設計することは、決して簡単なものではありませんでした。「まったく新しいコンセプトを開発する場合、基準となる参考船はありません。」と川崎重工業で商船の船体や貨物タンクの構造設計を担当する吉田隆太氏が語ります。 その結果、技術者や船舶設計者は、船体の鋼材重量や重量配分を推定し、主要寸法を決定するために、従来の船舶設計に頼ることができません。さらに、LH2のタンクや断熱システムなど、数多くの新技術を採用した設計であったため、船体構造や艤装品配置への影響を慎重に考慮しながら開発する必要がありました。 そのため、KHIのチームは包括的な構造研究を主導し、設計プロセスを通じて何度も繰り返しを管理する必要がありました。斬新なコンセプトデザインの課題を克服するためには、設計プロセスを可能な限り合理的かつ効率的にする適切なツールが必要でした。そこで出番となったのがNAPAツールです。 NAPA Steelを使用することで、船舶の重量を迅速かつ正確に見積もることができ、有限要素(FE)モデルを簡単に作成することができました。また、艤装品の仕様変更に応じてモデルを迅速に修正し、構造を検討することができたので非常に助かりました。 - 川崎重工 船舶設計担当 吉田隆太氏 船舶設計プロセスの再考 イノベーションを最大限に発揮するために、KHIのチームは従来の船舶設計プロセスの限界を克服する必要がありました。従来、艤装品や詳細な構造設計は、船舶の一般構造が確定した後の設計後期に行われていました。しかし、大型LH2運搬船のようなまったく新しいコンセプトの船では、これらの段階をプロセスのかなり早い段階で行う必要がありました。これは、詳細設計段階で大きな問題が発生し、構造全体の大幅な手直しが必要になるリスクを避けるために不可欠です。 船型、カーゴタンク、艤装システムの開発は、設計の初期段階から着手することが理想です。そこで川崎重工業は、NAPAツールを活用した「先行設計業務」を開発しました。 実際、KHIのチームはNAPAを使って3Dモデルを作成し、最初の開発段階から初期設計、詳細設計の段階まで役立てました。モデルを素早く編集できる利点を生かし、船体構造の設計と艤装品の配置を同時に検討することができ、これらの評価を複数回繰り返して異なるバリエーションを効率的に検証する柔軟性も備えていました。 これにより、設計の初期段階から、まったく新しい技術やシステムの搭載を高い精度で検討し、それに応じて基本構造を更新することが可能になりました。これには、技術者が3Dモデルを迅速かつ容易に修正できるNAPA Steelが役立ちました。「NAPAなしではこの仕事はできませんでした」と吉田氏は強調します。 この「先行設計」アプローチにより、詳細設計段階からの知見を、初期段階からさまざまな設計バリエーションの評価に含めることも可能になりました。これには、工法や工程、縦方向の補強材の配置などの検討が含まれます。 その結果、見えない課題を早い段階で発見することができ、後々の設計のやり直しを防ぐことができました。– 川崎重工業 船舶設計担当 吉田隆太氏 サクセスストーリーの構築 設計プロセスの改善は成功しました:KHIの大型LH2キャリア・コンセプトは2022年4月にClassNKから基本設計承認(AiP)を取得し、初期設計とその安全性が第三者によって検証されました。「NAPAがなければ、早い段階から構造検討を繰り返す設計プロセスを実施することは難しかったでしょう」と吉田氏は付け加えました。 また、NAPAツールによって坂出と神戸の両チームが同じデータベースを共有しながら同時に作業を進めることができ、効率向上にも貢献しました。今後は、船体構造設計だけでなく、カーゴタンクの開発支援にもNAPAツールの活用を広げていきます。具体的には、タンクのパラメトリックモデリング、FEモデル出力、重量推定などを早期に実施します。また、社内のモデルレビューを容易にするためにNAPA Viewerの利用も計画しています。 川崎重工は、エネルギー転換の進展により革新的な船舶への需要が高まる中、事業成功の基盤を構築していきます。「脱炭素社会への移行に伴い、新燃料を動力源とする船舶や新燃料運搬船の開発が既に活発に進められています。このような新しい船舶の開発には、多くの研究・設計要素が複雑に絡み合いますが、NAPAを用いた3Dモデルベースの設計は、このような複雑な問題を解決するのに役立ちます」と吉田氏は締めくくりました。
Read Article3月 21, 2025
4つの主要な日本の海事関連企業がデジタルツインプロジェクトに参加
業界を代表する企業が、船舶の設計および運航データの共有方法を変革し、デジタルツインの導入障壁を克服する取り組みを支援へ 【東京(日本)/ヘルシンキ(フィンランド)、2025年2月25日】 国内の海事産業を牽引する、川崎汽船株式会社、旭洋造船株式会社、三井E&S造船株式会社、住友重機械マリンエンジニアリング株式会社の4社が、業界横断型の共同プロジェクト「デジタルツインプロジェクト」に新たに参加いたしました。 この新たな参画は当プロジェクトにおける「フェーズ3」に当たり、造船会社と海運会社で安全なデータ共有フレームワークを構築し、船舶のライフサイクル全体におけるデジタルツインの活用を推進することを目的としています。これにより、運航の効率化と安全性の向上を図り、参加企業は、設計・運航データの共有に関する様々な課題克服に向けたデータ共有の可能性についてさらなる議論を重ねていく方向です。 多様なステークホルダーとの緊密な協力を通じ、本プロジェクトでは船舶設計段階で作成された3Dモデルを安全かつアクセス管理が行われたデジタル環境で共有できる新しいプラットフォームの開発を目指します。また、運航データを造船会社へフィードバックすることで、貴重な知見を提供します。これにより、造船所やソリューションプロバイダーに新たな事業機会を創出するとともに、関係者間での利益共有の仕組みを構築することが期待されます。 本プロジェクトには、すでに業界を代表する海運会社や造船会社が参加をしています。今回参加した4社に加え、既存メンバーである日本郵船株式会社、同社グループの株式会社MTI、株式会社商船三井、総合商社の丸紅株式会社、また同社グループのMMSLジャパン株式会社他、造船会社から今治造船株式会社、ジャパンマリンユナイテッド株式会社、株式会社臼杵造船所ほか、ソフトウェア・データサービスプロバイダーのNAPA、船級協会の一般財団法人日本海事協会が一丸となって、さらなる発展に貢献していく予定です。 日本海事協会のデジタルトランスフォーメーションセンター長 佐々木吉通氏は次のようにコメントしています:「この重要なデジタルツインプロジェクトに新たな参加企業を迎えられたことを大変嬉しく思います。今回の4社の新たなご参加により、本プロジェクトには海運業界のよりさまざまな分野の専門家の知見が集結することとなりました。この協力関係を活かしつつ、今後もデジタルツイン技術の発展に向け、取り組んでまいります。」 NAPA Studios担当 NAPA Group 副社長 兼 NAPA Japan 代表取締役社長 水谷直樹は、次のようにコメントしています:「この著名な新規参加企業の加入は、デジタルツインプロジェクトの大きな節目となります。本プロジェクトは、NAPA Studiosの取り組みの一環として、船主、用船者、造船会社、船級協会、金融機関、保険会社などを結び付ける共同プロジェクトの中核を担っています。これにより、新技術や契約導入の実務的な影響を明確にし、ネットゼロへ向けた新たな技術および運用フレームワークの開発を支援します。すべての参加企業の皆様に感謝申し上げるとともに、今後の協力のさらなる発展を楽しみにしています。」 住友重機械マリンエンジニアリング株式会社の取締役営業・技術本部長 舛谷明彦氏は、次のようにコメントしています:「当社がこの革新的な取り組みに参加できることを大変誇りに思います。既存の海運技術、特に風力推進技術などと、最先端のICTおよびデジタル化技術を統合し、業界の発展に貢献していくことを目指してまいります。」 現在、デジタルツイン技術を効果的に活用することで、船舶ごとの独自の設計特性や性能を深く理解し、脱炭素化に向けた意思決定の支援が実現できると考えられており、当技術は海運業界のエネルギー転換を支える強力なツールとなります。本プロジェクトがさらに勢いを増して進展する中で、今年2025年の商業的展開が期待されています。 編集者の方々へ 一般財団法人日本海事協会(ClassNK)について 一般財団法人日本海事協会は安全性と環境保護を目的とした第三者認証機関として1899年に設立され、船舶や海洋構造物の検査・認証を実施しています。100以上の船籍国からの委託を受けて、独自の規則や国際条約に基づく認証業務を提供、ISOなどの管理システム認証も実施しています。海事産業におけるデジタル化や、脱炭素化に向けた課題に対応するため、業界と連携し、認証サービスの拡充や研究開発を進めています。 詳細はwww.classnk.com/hp/ja/をご覧ください。 NAPAについて NAPAは、海運業界向けのソフトウェアおよびデジタルサービスのリーディングプロバイダーとして、データサイエンスを活用した安全で持続可能な未来の船舶の運航を支援しています。1989年に船舶設計向けのスマートソリューションを提供する企業として設立され、現在では造船業界におけるグローバルリーダーとして90%以上の新造船にNAPAの技術が活用されています。現在は、船舶のライフサイクル全体にわたる運航の安全性や効率性向上を支援し、全世界3,000隻以上の商船でNAPAのソリューションが使用されています。 本社はフィンランドにあり、日本、韓国、中国、シンガポール、米国、ドイツ、ギリシャ、ルーマニア、インドなどで事業を展開しています。 詳細はwww.napa.fi/ja/をご覧ください。 本件に関するお問合せはこちら:
Read Article3月 10, 2025
NAPA User Seminar Japan 2025
NAPA User Seminar Japan 2025 を2025年10月に開催いたします! 私たちと一緒に船舶設計技術の未来に踏み出しましょう! 昨年のセミナーは大変多くの皆様にご参加いただき、大変盛況のうちに終了いたしました。 こちらも是非ご覧ください。 日時 2025年10月6日 (月) 9:00 ~ 10:00 Welcome Coffee Time 10:30 ~ 17:00 セミナー(開場:10:00) 18:00 ~ 20:00 懇親会(無料) 2025年10月7日 (火) 10:00 ~ 17:00(受付開始: 9:30) 場所(セミナー・懇親会) オリエンタルホテル神戸 DAY1 Welcome Coffee Time:4階 BAMBOO HALL セミナー会場 :6階 THE ORIENTAL ROOM 懇親会 :4階 BAMBOO ROOM DAY2 セミナー会場①:5階 THE ROYAL BALLROOM(構造関連ワークショップ・講演) セミナー会場②:6階 THE ORIENTAL ROOM(復原性/流体関連ワークショップ・講演) 対象 設計用NAPA ユーザー、またはNAPA製品に興味をお持ちの方 ※同業他社様・個人のお客様からのお申込みはご遠慮頂いております 定員 […]
Read Article3月 7, 2025
デジタル化と脱炭素化を推進:韓国海事業界向けNAPAの先進ソリューション
2000年代初頭に韓国市場に参入して以来、NAPAは造船会社や海運会社と永続的なパートナーシップを築き、当初から船舶設計の先駆的な取組みに注力してきました。今日、フィンランドに本社を置くソフトウェアとデータサービスのグローバルリーダーとして、NAPAは35年以上の専門知識を韓国に提供し、船舶の設計と運航の両面で成功をもたらすエンドツーエンドのデジタルソリューションを提供しています。 世界有数の海運ハブである韓国は、革新、規制遵守、代替燃料への適応、持続可能性のバランスを取るという重要な課題に直面しています。NAPAのソリューションは、海運のデジタル化と脱炭素化を推進することで、このニーズに応えるよう設計されています。この2つは、世界規模で競争力を維持しようとする韓国企業にとって優先事項です。 韓国の海事業界が直面する主な課題 脱炭素化と環境規制: 排出削減目標の厳格化(FuelEU、EU ETS、CIIなど)により、韓国の海運会社は脱炭素化へのプレッシャーに直面しています。これらの目標を達成するためには、新技術、代替燃料、エネルギー効率の高い運航を採用する必要がありますが、これらの導入には費用と複雑さが伴います。 デジタル化とテクノロジーの統合: 世界的にデジタルトランスフォーメーションが加速する中、韓国の海運業界は効率性と安全性を向上させるため、船隊管理、データ分析、予知保全などのデジタルツールを統合する必要があります。しかし、デジタルソリューションを大規模に採用するには、サイバーセキュリティの確保と初期投資の管理が必要となります。 燃料費の高騰: 燃料費は運航経費の大部分を占め、価格の変動は輸送費を圧迫します。運航の効率化、航海の最適化、場合によっては代替燃料へのシフトなどを通じて燃料消費量を削減する方法を見つけることは、コスト管理にとって極めて重要です。 造船市場競争: 韓国は世界最大の造船国のひとつです。競争力を維持するために、韓国の造船会社は、高効率で環境に配慮した船舶の需要に応えるために、デジタルツインを含む先進的な設計手法を採用し、革新しなければなりません。 代替燃料への適応: LNG、水素、アンモニアなどの低炭素またはゼロカーボン燃料への移行は、技術的・経済的な課題をもたらします。必要なインフラを整備し、既存の船舶を改造し、新しい燃料を確実に利用できるようにすることは、より持続可能な未来への大きなハードルとなっています。 NAPAのソリューションが韓国海事業界のニーズにどう対応するか:船舶の設計から運航まで 韓国の造船メーカーが競争力を維持できるようサポートするため、NAPAは数十年にわたり、HD現代重工業、Hanwha Ocean、サムスン重工業、Korean Registerなど、韓国の大手海事企業の信頼できるパートナーとなっています。あらゆる種類の浮体構造物の設計と解析のための最先端ソリューションを提供することにより、NAPAは最初のコンセプト設計からあらゆる段階で設計者のニーズに応えています。 NAPA Fleet Intelligence・プラットフォームは、安全で効率的な航海のための船舶性能モニタリングと最適化ソリューションを提供します。最新の海事規制(FuelEU、EU ETS、CII)に対応しながら、大幅な燃料節減を可能にし、船舶の効率的で持続可能な運航を支援します。一方、NAPA Voyage Optimizationは、排出量を最小限に抑え、コストを節約し、安全を優先する天候ルーティングサービスを提供します。さらに、NAPAの風力推進システムに特化したソリューションは、韓国の環境保全技術重視の姿勢に合致し、船上での持続可能な推進システムの効率と安全性を最大化します。 規制が厳しくなるにつれ、正確でタイムリーな情報を当局に提供することは、船員、船主、運航会社、管理者にとって非常に重要です。NAPA Logbookは、自動入力されるログエントリー、簡単な記録管理と迅速な報告、法令遵守、基準チェックリストなどにより、この負担を軽減します。 今年の NAPA Studiosの立ち上げは、先進的な韓国市場に特にふさわしいものです。NAPA Studiosにより、韓国企業の具体的な要件に合わせたカスタムデジタルソリューションを可能にする柔軟なプラットフォームを提供することで、日進月歩の業界において競争力を維持することができます。 持続可能な未来のためにNAPAとパートナーシップを:今日から海上業務を強化します 韓国の海事産業がより持続可能でデジタルな未来に向かって進む中、NAPAは献身的なパートナーとしてここにいます。NAPAのソリューションがどのようにお客様の業務を強化し、ビジネスを向上させることができるのか、この航海にぜひご参加ください。
Read Article10月 31, 2024
より良く、そして環境に優しい船舶設計を目指しますか?運航データがその力になります。
シミュレーションツールは、航海最適化や、運航の安全性と持続可能性を高める高度な復原性ソフトウェアの基盤としてよく知られています。そして今、このデジタルツールに新たな役割が生まれつつあります。それは、設計段階で仮想的に新しい船舶のコンセプトを試すことで、船舶設計におけるイノベーションを推進することです。 海運業界は今、様々な燃料やエネルギーを必要とする時代を迎えようとしており、それはますます個々のニーズに合わせた設計と同義語になっていくでしょう。燃料や技術の選択肢は、船舶の種類や用途によって最適なものが異なります。また、最も適切なソリューションは、船舶の運航状況や航行ルートによっても異なります。 例えば、最近、タグボートやフェリーにバッテリー技術が採用されたことは、これらのシステムが、特定の近海航路を航行する小型船舶に特に適していることを示しています。一方、風力推進システムは、強力で安定した風が吹く外洋航路の船舶に最も効果的です。寄港地で燃料補給ができるかどうかも、LNG、メタノール、アンモニアなどの代替燃料に関する決定に影響を与えるでしょう。 しかし、これは、こうした斬新なコンセプトの開発を担当するエンジニアや船舶設計者が、設計段階で下さなければならない多くの決定事項の内のほんの一部にすぎません。課題は、新しいエンジン、タンク、技術を統合することだけでなく、安全性、効率性、収益性の観点から、これらの設計が海上で有効であることを保証するために、適切な構成、寸法、積載量、強度、船体形状を選択することにあります。 最終的な目標は、船舶設計者が設計の初期段階から、新しい船舶コンセプトが就航後にどのような性能を発揮するかをモデル化できるようにすることです。迅速かつ簡単にこれを行えるようになるのが理想的です。そうすれば、様々な検証を繰り返し行い、コンセプトを確実に最適化することができます。 従来、設計者は類似船のデータに基づいてこれらの評価を下してきましたが、このデータは不完全であることが多く、また、過去において平均的にうまく機能してきた簡略化された規則に基づいて作成されている場合があります。このアプローチは、船舶設計にとってもはや最適な方法ではなく、技術革新を阻害する恐れもあります。さらに、過去のデータが存在しない全く新しい設計の場合はどうでしょうか?その答えは、すでに船舶の運航で広く使用されているツールにあり、それを船舶設計のための新たな見識を引き出すために再利用することです。 未来のパフォーマンスをシミュレーションする3つのステップ 実際の業務ではどのように行われるのでしょうか?類似船舶のデータが入手できない場合でも、以下の3つのステップに従うことで、未来の船舶性能をモデル化することができます。 ステップ1:流力性能モデルの作成 船舶の設計に使用された3Dモデルに基づいて、流力性能モデルは、特定の船舶がさまざまな速度や海象条件下でどのように機能するかを把握する。 流力性能モデルをゼロから構築することは、多大な時間と労力を要する作業になる可能性がありますが、その必要はありません。NAPA性能モデルは、世界中のすべての既存の船種とサイズに対応する基準モデルを提供し、この分析のための最適な枠組みとなります。その後、新しい設計の独自の特性を反映したデータによって調整されます。 ステップ2:運航計画の決定 これは、本船が運航される地域や寄港地だけでなく、想定される速度の範囲や本船が受ける積付条件についても概要を示すものです。 これは、すでに船舶の運航状況を詳細に把握している修繕計画においては容易なことですが、新造船の場合は、AISデータから多くの情報を得ることができます。NAPAのデータベースは、数年にわたる6万隻の船舶のAISデータで構成され、このデータの意味を理解し、船舶タイプや サイズごとにフィルタリングするなどのアルゴリズムによってサポートされています。実際、このデータベースは、どの地域で、どのようなタイプの船舶が、どのように運航されているかという貴重な情報を提供しています。 ステップ3:現実的な運航のシミュレーション 流力性能モデルと運航計画を一緒にすることで、特定の航路における未来の船の性能をモデル化することができます。 NAPA Voyage Optimizationはまさにそれを実行するように設定されています。このツールは天候に左右される航海のために作られたもので、複数の航路バリエーションにおける船の挙動をシミュレートすることで、世界のどこでも2つの港を結ぶ最適な航路と速度分布を決定します。 その第一の目的は運航ですが、まだ図面にしか描かれていない船舶のコンセプトに対して、理論的な航海をモデル化する目的にも利用できます。 過去の気象データと、関連する海域や時期の統計的気候データを使って、船舶が運航する海域の気象条件や海況を再現します。そうすることで、未来の船舶の速度範囲、エンジン負荷、燃料消費量、運航中の温室効果ガス排出量をモデル化することができます。 よりエネルギー効率の高い船舶の設計に加え、NAPAの運航シミュレーションツールは、より安全で耐久性の高い船舶の開発にも利用できます。船舶設計者は、未来の船舶の耐航性能を評価し、船舶がその耐用期間中に航行する現実的な条件や航海に必要な構造荷重を評価することができます。 船舶設計者にとっての最大の利点は、さまざまな設計の繰り返しにおいてこの分析をすべて繰り返し、船主独自の運航ニーズを満たすにはどのオプションが最適かを判断できることです。 ケーススタディ – 繰り返し設計の検証 これが実際にどのようなものかを説明するために、バルト海のストックホルム、マリエハムン、ヘルシンキ間の航路に就航する新造RoPax船を例にとってみましょう。 私たちはまず、全長197メートル、幅31メートル、設計喫水7.1メートルの基本船型から始めました。その後、排水量(または重量)を一定に保ちながら、それぞれ寸法と構造を変えた3つのバリエーションを作成しました。 次のステップは、3港間の航路、スウェーデン群島での速度制限、入港時の低速などを考慮した運航計画を立てることです。これをもとに、2023年全体をカバーする26航海(2週間に1航海)のシミュレーションを行いました。 その結果、設計改善のための豊富な情報が得られ、未来の船は航行時間の約50%を全速力で、25%を港で過ごし、残りを低速で運航することが明らかになりました。これは、必要な推進力レベルを理解し、エネルギー効率を最大化するための適切なエンジン出力と構成の選択に役立つため、設計の観点からは貴重な知見です。 新燃料とエネルギー源のシミュレーション これをさらに一歩進めれば、将来の燃料消費量のシミュレーションを行い、特定の船舶のさまざまな燃料オプションのコストと排出削減効果を比較することができます。今後のEU ETSと FuelEU罰則を計算に含めることで、この10年間と将来における燃料コストを包括的に把握することができます。このようなシミュレーションは、新たな運航コストを考慮した場合、設計のバリエーションによる大きな違いを明らかにすることができ、最終的には船主の大幅な経費削減につながります。このような分析の不確実性は、予測される燃料価格と規制コストの精度に左右されますが、規制の状況や価格予測が明らかになるにつれて、運航シミュレーションツールはさらに強力になるでしょう。 将来を見据えた船舶設計のために、従来と異なる思考を なぜこのようなビジョンが重要なのでしょうか?なぜなら、海運業界が脱炭素の未来に向けて自信を持って前進するためには、船舶設計の選択と同じくらい重要な決定が、データと証拠に基づいて行われなければならないからです。 このシミュレーションは、既成概念にとらわれず、すでに自由に使えるシミュレーションツールを最大限に活用することで、今後先駆者となる船主が直面する最も重要な疑問の1つである、「新造船が安全で効率的、コンプライアンスに適合し、経営上のニーズに応えることができるか」、という問いに明確な答えを提供できることを示しています。 EUETS、FuelEU、IMOのGHG戦略など、新たな環境規制が導入され、エネルギー効率の高い設計や、最終的には新燃料への移行が求められる中、船舶設計の革新はもはや「あればいい」ものではなく、不可欠なものとなりつつあります。 今日、環境対応型船舶がより良い傭船料を獲得していることがすでに確認されており、特定の船種では割増料が1日あたり1万米ドル、あるいはそれ以上に達しています。しかし、より多くの船主に決断を促すためには、彼らの投資がいかに健全で、多くの場合20年以上に及ぶその耐用年数を通じて、彼らの資産がいかに将来性を保ち、コンプライアンスを遵守できるかを、確かなデータ分析によって証明する必要があります。 より広い意味で、これは船舶設計の革新を支える運航データの力を証明するものでもあります。海上に革新的な船舶の数が増えるにつれ、設計データと運航データの間に新たな架け橋を作る機会が私達にはあります。これは、実際の運航から得られる知見を設計プロセスに反映させ、将来の船隊の性能を向上させるためには非常に重要なことです。船主と造船会社が匿名化された安全なデータ共有に協力する必要がありますが、それだけの価値があるはずです。海事業会、人々、そして地球、すべてが恩恵を受けることになるのです。
Read Article10月 25, 2024
造船会社の多面的な効率性の課題へのデジタル対応
競争市場、人口構成の変化、エネルギー転換に共通するものは何でしょうか。それは、船舶の設計・建造プロセスにおける効率化の必要性を推進する強力な力であり、それがこの分野のデジタル・トランスフォーメーションを加速させているという点です。 市場の地殻変動が起きています。中国、韓国、日本といった世界の造船大国間の競争は、個々の造船会社やエンジニアリング企業間の熾烈な競争のうち、最も目に見えるものの一部分に過ぎません。 造船会社は新造船の受注を競うだけでなく、新しい燃料や技術を推進力とする革新的な船舶を求める新興市場において自らの地位を確立し、その技術を開発しようとしています。このような状況において、納期を短縮し、より優れた設計を生み出し、かつ財務的に健全な事業を維持できる造船会社は、競争優位に立つことができるでしょう。 生産性の向上は、もはや「できればいいもの」 ではなく、企業の事業戦略の中核をなすものでなければなりません。これは、企業活動の将来を見据えた必須の戦いです。 労働力不足 競争が熾烈になる一方で、多くの造船会社やエンジニアリング会社、特に中小規模の会社は、労働者や技術者不足のために片手を後ろ手に縛られているような状態で戦っています。日本と韓国の急速な人口減少の中で、造船業界に新たな人材を惹きつけることはますます難しくなっています。韓国では、COVID-19規制が解除されて以来、熟練労働者の不足がここ2、3年で特に深刻になっていますが、問題の根源は10年前の大規模な市場低迷に伴う解雇にまで遡ります。 造船会社によっては2027年まで受注が満杯という新造船への需要が高まり、エネルギー転換のニーズに後押しされて技術革新が進んでいる最中に、このような採用難が発生しています。一部の造船会社では、人員不足とエンジニアリング業務増加の直接的な結果として、すでに納期遅れに直面しています。設計と建造の両チームで、既存の労働力の生産性を最大化するための対策を講じなければ、活況を呈する市場のチャンスを掴むことはできず、競合他社にシェアを奪われる可能性があります。 デジタル技術は、若い世代にとってこの業界がより魅力的なものになることと、生産性を高めるために設計プロセスを合理化することの2点において、人材確保の問題改善に役立ちます。 データはいかに効率化を促進し、より良い船舶設計をサポートするか 根本的な(そしてデジタル的な)変化はすでに進行しています。世界中のあらゆる規模の造船会社やエンジニアリング会社が、効率向上のための解決策を模索しています。その結果、造船会社によってデジタル化のレベルや規模は異なるものの、3Dモデルの使用はより広まり、設計プロセスに不可欠なものとなりつつあります。 初期のコンセプト段階から詳細設計、船級承認、そして建造に至るまで、設計プロセス全体で一貫した3Dモデルの使用を可能にすることで、部門間のサイロ化を解消し、効率的なフィードバックループの実現が可能です。また、データ入力や変換に費やす時間を削減し、エラーのリスクを抑えることもできます。最終的には、下流の生産設計で3Dモデルを再利用することで、重要な意思決定をサポートする正確な情報を提供するとともに、生産計画から調達までの時間を節約することができます。 NAPA Designerによるクイック3Dデザイン エネルギー転換に必要な技術革新のペースの速さを考慮すると、プロセスの合理化を支援するデジタルツールは、新しい燃料や技術の複雑さと工学的な課題を解決するための、より効率的で協力的な業務フローを構築するための基盤となっています。 デジタルの時代は、設計初期段階から将来の船舶性能をモデル化できる3Dシミュレーションツールの活用に扉を開いています。仮想航海シミュレーション、代替燃料の比較、風力推進装置シミュレーション、積付条件シミュレーションなどの評価分析はすべて、船舶設計者やエンジニアがさまざまな選択肢を検討し、これまでの経験だけに頼ることができないこの時代において、最善の意思決定をしていく上で既に役立っています。 適切なツールとともに、効率的な業務フローは、手作業によるデータ入力を減らし、重複作業を削減することで、船舶設計者やエンジニアが作業量の増加と複雑さを上手く管理できるようにし、各人が本来の設計作業に集中できるようにします。これらの改善により、迅速な設計の反復と柔軟な変更管理が可能になり、生産性の向上とすべての関係者にとってより良い設計の意思決定に貢献します。つまり、これらの迅速な設計プロセスは、競争力を維持し、革新的であり続けるために不可欠なのです。 船舶設計の未来 この機会を利用してデジタルツールを活用しプロセスを改善する企業は、今日、時間を短縮し、設計に付加価値を与えるだけでなく、効率性と革新性が重要な差別化要因となる今後の市場において、競争力を維持するための適切な基盤を構築することになります。つまり、今デジタルトランスフォーメーションを取り入れることで、造船会社が進化し続ける業界において成功するための準備を整えることができるのです。 長期的には、現在進行中の情報・技術革命は、デジタル建造からデジタルツインに至るまで、造船会社が新たな価値を生み出す世界を切り開くでしょう。例えば、造船会社が製造設備の模型をデジタルで作成し、業務フローや建造工程、建造アウトプットをシミュレーションし、最適化が可能になります。 これからの道のりは、挑戦的であると同時にワクワクするものでもあります。現在進行中の技術とエネルギーの変革は、造船会社の新たなビジネスモデルを確立していき、これにより市場の地殻変動はさらに進み、新たな専門分野が形成されるとともに、よりスマートな造船を実現するための技術活用の機会が開かれることになります。 本記事に関するお問い合わせ先:
Read Article9月 30, 2024