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MR型タンカーの航海最適化検証において、 平均15.9%の燃料消費量削減を確認

by Kimmo Laaksonen, Director, Product Development, NAPA Shipping Solutions

航海最適化ソリューション(voyage optimization solutions)が船主やオペレータにもたらす、排出ガス、燃料、およびコストの削減効果には、様々な意見があります。航路を最適化することで、実際にどれだけの削減効果が見込まれるのでしょうか。どのようにしてその削減効果を算出することができるのでしょうか?

削減効果の試算を行うにあたり、MRタンカーの過去1年以上の大西洋横断航路における航海データを取得し、海気象予測情報を使用した場合の最適航路と、実際の航海結果との比較・分析を行いました。(最適航路算出においては、各参照航路において航海時点で入手できたデータのみを利用しました。)

航海の最適化(Voyage optimization – NAPAの検証手法

航海最適化を評価する上で、検証すべき主な項目は以下の2つです。

1つ目の検証項目は速度プロファイルです。船長は、気象条件を考慮し航海計画を立案します。その際、ETAに間に合うよう、船舶は航海の始めは速く航行し、その後減速することがよくありますが、これは非常に非効率的であると言えます。なぜなら、燃料消費量は速度と指数関数的な関係にあるため、同じ速度を維持するよりもはるかに多くの燃料を使用するからです。時には航海中にETAが変わる場合があり、そのことは航海計画を立案する時点では予測できないことから、航海中にETAが大幅に変更された航海は、本検証において除外しました。

実際の航海と最適化された航海を比較する際、出発と到着の時間それぞれを同一としました。航海を最適化する際に、航海開始時より、到着時間をETAとして使用しました。これにより、速度プロファイルがより均一になります。

航海最適化ソリューションは、到着時間を正確に予測するのに役立ちます。これにより、乗組員は目標のETAを達成できると確信でき、よりバランスのとれた速度プロファイルとすることによるメリットを受けられます。

2つ目の検証項目であり、また最も重要となるのが、初期設定航路です。極端な気象条件を除いて、多くの船は標準航路を運航する傾向がありますが、必ずしも最適航路であるとは限りません。いくつかの気候学ベースでの標準航路がすでに存在し、1年を通じて使用できますが、気象現象は毎年異なるため、航海固有の最適化が不可欠です。

実際の航海と最適化された航海の比較を行うにあたって、最適化された航海の算出方法は以下の通りです。航海初日はその時点で入手可能な海気象予測情報のみを使用し、次の日も同様にその日時点の海気象予測情報を基に、最適化を繰り返すことで航路を設定しました。(下図参照) つまり、乗組員や最適化チームが航海時点で利用可能だったデータのみを比較・分析に利用したことを意味します。

Voyage optimization done daily for the remaining part of voyage

 

最適化計算は、航路安全性を考慮し船舶工学に基づいた、NAPA独自の船舶固有のシミュレーションモデル ship-specific simulation modelを使用して行われます。

実際の航路と最適化された航路の最終結果を次の図に示します。

Optimal vs. sailed routes when crossing the Atlantic

© Kepler, © Mapbox, © OpenStreetMap

 

最適化された航路と実際の航路は、同じ、海気象の実績情報を用いて評価しました。今回の比較結果では、MRタンカーにおける最適化における効果として、BF4以上の気象下での航海時間を9.8%短縮、RPM5%減少、さらに消費燃料コストを15.9%削減できた可能性があることが確認されました。この分析では実際の航海と同じスケジュールを正確に仮定したため、コストの削減が直接、企業の収益性向上に貢献し得たと考えられます。消費燃料コストが総航海費の50%を占めると仮定すると、最適化航路を選んだ場合、TCETime Charter Equivalent)で約8%増加が可能だったことになります。

(このブログは、2020年11月4日に LinkedIn で公開されました。)

 

ビッグデータの活用取り組み

MRタンカーの大西洋航路での本検証によって、コストの削減可能性が示された結果となりました。では、なぜ実際の運航時、船はこれらの利点を利用しないのでしょうか。昨年行った、航海計画立案時のモチベーション調査( prevalent attitudes towards voyage planning)の結果、多くの回答者がより効率的な航路選定を望んでいた一方で、いくつかの障害があるということが判明しました。障害の例として、最適化による効果が不十分であるという意見や、最適航路作成時の作業負荷が大きいのではという懸念があり、実航海時の船上で最適化ソリューションツールの活用が進んでいない、といった意見もありました。

 

NAPAはこれらすべての問題に取り組んでいます。私たちは、船舶運航におけるすべての関係者が、NAPAのツールを利用可能になることで、情報の透明性を高めます。 NAPA Voyage Optimizationは、船上でのインストールが最小限で済むように設計されており、最適化された航路は、シンプルなユーザーインターフェイスを介してエンドユーザーに配信されます。これらはすべて、スケーラブルなクラウドプラットフォームを使用して開発されており、すべての航海に手頃な価格で適用することができます。これは、船舶の性能モデリングとアルゴリズム開発に数十年の歴史と最新のテクノロジーを組み合わせたNAPA独自の高度な解析手法に基づいています。

NAPAのデモセッションをご希望の方は、以下のリンクからご希望の日時を予約ください。運航時の燃料コストの削減効果をご自身の目で実感いただけます。

 

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