October 2, 2025
Naval Group:安全で安定した軍艦運航を実現する取り組み
船舶設計および復原性データの計算に用いる3Dモデルの活用を運航段階まで拡張することで、NAPAはNaval Group社のWeight‑Stability Serviceチームが、設計の「青写真」から船上での実運航に至るまで、計算およびデータの一貫性を確保できるよう支援しています。
コメント提供者:Gaëlle氏、William氏、Vincent氏(Naval Group社の技術者)

軍艦は、設計と同様に運航も複雑です。この2部構成のブログの第1部で詳しく説明したように、軍艦は幅広い運航シナリオに直面し、それぞれが復原性、生存性、復旧性に影響を与えます。浸水から座礁に至るまで、急速に変化するこれらのリスクに備え、迅速に対応できることは極めて重要であり、そのためには適切なデータとデジタルツールが不可欠です。
NAPAは、フランスに本社を置くNaval Group社およびそのWeight‑Stability Serviceチームと協力し、軍艦が任務を遂行できるようにするとともに、船上の士官が十分な情報に基づいて意思決定を行い、対策を準備し、備えを強化できるよう支援しています。
設計と運航データをつなぐ3Dモデルの活用
軍艦の複雑な運航上の課題や要件に対する解決策を探る第一歩は、すでに手元にあるソリューションを活用することです。それが、船舶の設計に使用された3Dモデルです。この3Dモデルの相互運用性により、設計段階で得られた知見を船舶の運航段階まで拡張でき、さらに、船の復原性解析フェーズで使用された同じ復原性モデリングパラメータを実運航でも適用できるため、最適な復原性を計算するための信頼性の高い枠組みを提供し、最高レベルの精度を確保します。これにより、陸上の設計チームと船上の士官は、実際の条件下での船舶の挙動と復原性を正しく理解し、積み付け、トリム調整、バランス調整に関するより適切な意思決定を行うことができます。
船舶設計プロセスで使用された3Dモデルと、船上の復原性システムのデータモデリングを統合することは、非常に強力な組み合わせです。」
「これにより、船上の士官、船舶設計者、船級協会、外部ベンダー、そして最終ユーザーが効果的に連携し、安全性と運航に対する信頼性を高めながら、顧客データを保護することができます。」とNaval Group社のエンジニアであるVincent氏は強調します。
運航時の復原性に同じデータモデルを船上で使用することで、新造船や改修の設計プロセスを効率化し、継続的なフィードバックループを構築します。船上モデルは設計モデルとシームレスに更新できるため、船舶のデータが最新の復原性情報と一致していることを保証します。
より広い視点で見ると、、正確な復原性データを提供し、士官にその解釈方法を教育することで、Naval Group社は信頼と協力を促進しています。また、船上の運航からフィードバックを得て継続的な改善に役立てる機会にもなり、NAPAのツールがユーザーのニーズに沿ったものとなるよう維持され、情報が安全で閉じたエコシステム内で維持されることを確保します。

カスタマイズ性、精度、使いやすさを重視した、船上士官のための軍艦復原性の再定義
海上で勤務する士官にとって、NAPA Stabilityは、船舶設計者が船舶設計時に復原性基準を設定するために行う複雑なモデリングや計算を簡素化する、使いやすいソリューションを提供します。
Naval Group社のエンジニアであるGaëlle氏は次のように述べています。「NAPA Stabilityは、使いやすさを重視し、船上の士官と同じ言語で対話できるよう設計されています。船の復原性を管理するために技術の専門家である必要はありません。また、複数のExcelファイルや古い復原性・積載条件の計算を使う従来の方法から大きく前進したものです。」
基本的な初期トレーニングを受けるだけで、NAPA Stabilityのビジュアルインターフェースは、直感的な緑・黄・赤のインジケーターやKGmax曲線を備え、複雑な復原性評価を簡素化します。さらに、定義された積載条件に対して、非損傷時復原性及び損傷時復原性をリアルタイムで視覚的に表示し、着氷や油回収などを含むあらゆる運航モードにおける復原性と積載を(日次で)計算します。
NAPA Stabilityの真の革新は、例えば船の積載やタンクの充填に変更があった場合、それがすべての結果に自動的に反映される点です。

これには、例えば風圧モーメント評価や、船級規則や海軍規則に特化した復原性基準に関する正確な計算、さらにはタンク水位と直接連携した船体バランスのサポートなどが含まれます。また、士官は最大喫水やトリムといった運航制限を設定できるほか、実際に作業を行う前に積載や復原性のチェックをシミュレーションすることも可能です。「このカスタマイズ性こそが重要です」とGaëlle氏は強調し、これにより船上の士官は船の挙動をよりよく理解し、潜在的な問題を発見できると述べています。
このソフトウェアの柔軟性と機能は、将来の運航において特に価値があります。士官が損傷シナリオを練習し、緊急時の対応力を高めることができるほか、ドック入りの計画にも役立ちます。そこでは、正確な復原性調整や、設計計算と運航ニーズの整合性が極めて重要となります。
.
緊急時の任務継続と生存性確保を実現するアプローチ
商船とは異なり、軍艦の最優先目標は任務遂行能力を維持することです。その鍵となるのが、強固な生存性と緊急対応策です。NAPA Stabilityは、浸水時の対策検討や生存性の備えなど、複数の潜在的リスクや状況を同時に分析できることで、この意思決定を支援します。
NAPAの意思決定支援システムは、船内で浸水が発生した場合に、影響を受けた区画の乗組員が取るべき具体的な行動を示す「キルカード」を提供します。これらのキルカードは固定的なものではなく、船上の士官が特定の手順や船の状態に合わせてカスタマイズできます。
さらに、NAPA Stabilityは、座礁シナリオを防ぐために、座礁力を計算して船を再浮上させる方法を判断したり、運航パターンを活用して将来の航海や運航における復原性リスクを事前に計算することも可能です。
緊急時の備えに特化したツール
軍艦は常に脅威にさらされているため、リアルタイムの意思決定支援が不可欠です。外部からの脅威を完全に制御することはできませんが、浸水シナリオへの備えは管理可能であり、そこで重要となるのが、先進的で使いやすい浸水緊急対応および意思決定支援システムです。

浸水は複雑な現象であり、同時進行する段階的浸水(progressive flooding)から非水密境界の崩壊まで、さまざまなシナリオが存在します。船上の士官は、浸水時にどのように対応するか、そして船体の損傷範囲を把握しておく必要があります。NAPA Emergency Computerは、この対応を支援するために開発され、継続的な時間領域での段階的浸水予測に基づき、迅速な生存性評価を提供します。高度なアルゴリズムを基盤とするNAPA Emergency Computerは、船体の状態を考慮した浸水事象のタイムラインを提示できる唯一のソリューションであり、緊急時に士官が効果的に対応するために必要な情報を提供します。
これらの高度な機能は、依然として静的で事前計算された緊急対応マニュアルに頼ることが多い軍艦にとって、大きな進歩です。NAPA Emergency Computerのようなデジタルツールは、生存性および復旧性管理における飛躍的な前進といえます。
今後を見据えて
船舶設計から運航段階まで同じ3Dモデルを使用することで、データの一貫性が確保されます。これは、軍艦の運航における日常的な復原性管理のためのデータモデリング精度だけでなく、ドック入りや船舶改修に関する意思決定においても極めて重要です。
設計計算と運航ニーズの整合性を、変換作業なしで実現できることこそが、より効率的で協調的、かつ革新的なプロセスへのゲームチェンジャーです。こうした利点があるため、Naval Group社は、NAPA Stabilityのような船舶運航ソリューションを活用し、チーム間の連携、最適化、進化を続け、変化する規制、船級規則、顧客要求に対応していきます。」

こうした利点があるため、Naval Group社は、NAPA Stabilityのような船舶運航ソリューションを活用し、チーム間の連携、最適化、進化を続け、変化する規制、船級規則、顧客要求に対応していきます。
NAPAの利用拡大は、分野横断的なさらなる統合の可能性を示しています。信頼できる唯一の情報源を活用することで、NAPAはNaval Group社に、設計および運航プロセスの効率化、革新、安全で最先端の軍艦の提供を可能にします。これは、Naval Group社にとって、海軍防衛および世界中の海軍の厳しい要求に応えることを意味します。
海軍艦隊の戦闘耐性と運航安全性を強化
NAPA Safety Solutionsがあなたの艦隊と任務をどのように支援できるか、ぜひ当社のエキスパートにご相談ください。