October 17, 2025
船舶の燃費節減効果2割 “沖待ちなくす” ブルー・ヴィスビーがフォーラム
日本・東京-2025年10月17日-海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)にて、10月16日に開催しましたBlue Visby Solution Forum in Tokyoについての記事が掲載されました。ぜひご覧ください。

デジタル技術を活用して船舶の沖待ちをなくし目的地到着時間を最適化、温室効果ガス(GHG)削減を実現するブルー・ヴィスビー・コンソーシアムは16日、都内でフォーラムを開催し、脱炭素への取り組み意義などを共有した。創設者のハリス・ゾグラファキス会長は「『Sail Fast, Then Wait(速く航海し沖で待つ)』をなくすことで、タンカーやドライバルク船隊でバラスト航海と積載航海の双方で10~20%の燃料節減を実現できる」と意義を強調した。
同コンソーシアムは船舶の性能や海象、港湾の混雑状況などのデータを統合し、同じ港を目指す船舶群の到着時間の最適化・分散をすることで、船舶のGHG削減を目指す。現在44社・機関が賛同。日本から商船三井、丸紅、横浜港、日本政策投資銀行(DBJ)、日本海事協会が参加している。
フォーラムに協力したNAPAジャパンの水谷直樹社長は「24年12月以降、オーストラリアの4港でこの仕組みに基づいて運航をしており、二酸化炭素(CO2)や燃料消費量の削減が確認できた」と紹介した。
ブルー・ヴィスビーでは、船主または用船者が損失を被るリスクを排除するため、低燃費によるメリットを分配する仕組み「ブルーGA」も用意した。デジタルツイン技術を用いて通常航海と最適化した航海のシミュレーションを行い、GHG排出回避量を定量化する。
フォーラムでは、環境危機に対する解決策を提供するカーボントラストのコンサルタントを務める高木健氏(前東京大学教授)が製品やサービスなどのソリューションを通じて社会全体のGHG排出削減にどれだけ貢献しているかを評価する「削減貢献量(Avoided Emissions)」の概念を説明。そのうえで、「海事分野では今まで多様な技術開発が進み、船の効率は改善しているはず。一方、『Sail Fast, Then Wait』では、速く走るためにエンジンを回してしまい、(低燃費技術が)無駄になってしまう。そうならないソリューションが必要で、ブルー・ヴィスビーはそれを実現するうえで重要になる」と述べた。
DBJの畔上雅彦・企業金融第4部海運班課長は燃料転換、省エネ機器活用、最適運航の3点からDBJの取り組みを紹介。燃料転換を促進する「ゼロエミッション・アクセラレーティング・シップファイナンス」や、検討中の省エネ機器普及に向けた資金調達ファンドを紹介。最適運航に寄与するブルー・ヴィスビーについては「運航効率化、沖待ちの削減は重要であり、何らかの形でファイナンス面でも支援できたらと考えている」とした。
ビューローベリタスジャパンの杉原義之・船級部門長は「24年2月にホワイトペーパー『脱炭素への道』を発行した。これを作成するに当たり脱炭素のためにどのような対策が効果的か検証した。減速と待機時間の削減が大きく、これはブルー・ヴィスビーのねらいでもあったので、われわれはイニシアチブに呼応した」とコンソーシアムへの参画理由を説明。燃料消費削減量の計算手法の評価やデジタルツインモデルの精度評価を検証で協力している。
*海事プレスから転載の許可を得ています。
海事プレス記事:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2025/10/196522/
PDF:船舶の燃費節減効果2割 “沖待ちなくす”ブルー・ヴィスビーがフォーラム
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