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July 16, 2026

船舶設計が今直面する4つの課題 — NAPA User Meeting 2026の内側から

造船は今、各国政府の戦略的優先事項となり、AIはゲームのルールを変えています。今年のNAPA User Meetingでは、業界が再び集い、この勢いを重要な協働へとつなげました。NAPAの設計ソフトウェアが、船舶設計者やエンジニアが今日業界を定義する課題に立ち向かうために、どのように目的に応じて構築されているかについて議論しました。その課題とは、複雑性の高まり、分断、人材不足、そして海事分野の脱炭素化です。

NAPA User Meeting 2026がヘルシンキで閉幕しました。今年も造船所、設計会社、船級協会、学術機関を含む20か国・57社から100名を超える専門家が再集結し、それぞれのアイデアと情熱、そしてNAPAが実際の船舶設計の課題をどのように解決しているかの実例を共有しました。すべての参加者、そしてゲストプレゼンターの皆様に感謝いたします。発表者には、Hanwha Ocean社、Rauma Marine Constructions社、Nevesbu社、Helsinki Shipyard社、Chantiers de l’Atlantique社、そしてLloyd’s Register社の皆様にご登壇いただきました。

業界の今:政府の戦略的優先事項としての造船

現状を整理すると、2026年6月時点で世界の船舶受注量は17年ぶりの高水準に達しており、標準貨物船換算トン数(CGT)で1億9,100万トン、現存船隊の17%に相当する規模となっています。これは船舶設計者にとってわくわくする機会を浮き立たせる一方で、大きな課題ももたらしています。

海運・造船セクターに対する各国政府の見方には、明確な変化が見られます。私たちの業界は今、新聞の一面を飾る存在となり、経済成長、国家安全保障、サプライチェーンの強靱性を見据えた戦略的投資が増加しています。

Mikko Forss, NAPA Design Solutions, Executive Vice President(NAPA User Meeting 2026にて)

日本は「造船業界の再活性化に向けたロードマップ」を発表し、官民による大規模な投資を背景に、2035年までに造船量を倍増させるという野心的な目標を掲げました。欧州委員会は史上初の「産業海事戦略」を立ち上げ、造船を明確に技術主権の問題として位置づけています。そして米国は今年初め、1930年代以来最も野心的な米国海事産業の再活性化への取り組みとされる「海事行動計画」を発表しました。

これらは3つの主要経済圏による、3つの重要な海事政策のコミットメントであり、いずれも過去6か月以内に発表されたものです。造船が各国政府にとって戦略的優先事項となったことは明らかであり、これは昨年同時期からの大きな変化を示しています。

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NAPAの回答:造船の課題のために目的に応じて構築されたソリューション

記録的な受注量と歴史的な投資の規模により、造船業界の見通しは楽観的です。しかし、機会と重圧はしばしば同時にやってきます。今日の船舶設計は、対応が求められる4つの課題に直面しています。複雑性の高まり、分断、人材不足、そして海事分野の脱炭素化です。それぞれの課題は単独でも重要なものですが、これらが合わさって、競争力を維持するために克服すべきものを定義しています。

これらの課題は現実のものであり、それに見合う対応が必要です。NAPAの回答は、各専門分野に特化しながらも相互運用可能な、一貫したデジタルエコシステムの一部を成す包括的な設計ツール群です。User Meetingでは、NAPAのソリューションがそれぞれの課題にどのように対応しているかを見てきました。複雑性を明確さへ、分断を統合へ、人材不足を生産性へと転換し、排出コストが上昇する中で実際の運用条件に適した設計を実現します。

1.複雑性から明確さへ

私たちの業界の複雑性は新たな高みに達しています。これは主に、エンジニアリングの限界に挑む設計、変化し続ける規制、そして復原性、構造、性能のすべてを同時に両立させなければならない船舶設計に本来備わる多分野性によって引き起こされています。

NAPAの設計ツールの目標は、その複雑性を明確さへと転換することです。すなわち、造船設計者がより早い段階で自信を持ってより良い意思決定を行えるようにすることです。User Meetingでは、NAPAのOlli Puustinen(Director of Product Management)、Jan Furustam(Director of Business Development)、そしてThijs Muller(Lead Application Analyst & Marine Advisor)が、NAPAがどのように統合された船舶設計体験を最適化し、複雑性を切り抜け、ユーザーがより早い段階でより良い設計判断を下せるようにしているかを紹介しました。

彼らは、すべてがソフトウェアから始まることを強調しました。NAPAの信頼性の高い計算エンジンが基盤であり、信頼性と解析精度を高めるために計算ロジックは定期的に更新されています。ユーザーインターフェース、運用データの活用、最適化ツールがその上の層を構築します。そして最後に追加されたのが、AIによる生産性向上・設計ツールであり、NAPAチームは、これが多くの人が考えるよりも早く造船業界を変えるだろうと主張しました。

イベント中、NAPA DesignerNAPA Engineerの最新の開発状況について話を聞きました。そして、両者がどのように造船設計者の業務を簡素化しているかの実例を見ました。NAPA Designerは、高速かつ対話的な船舶設計に最適化された3D環境を提供し、船型や船体モデルから積み付け状態、非損傷時復原性計算まで、コンセプトからコンプライアンスに適合した設計に迅速に到達するために必要なすべてを備えています。NAPA Engineerはその基盤をさらに発展させ、多分野にわたる設計をより管理しやすくします。その中心にあるのがNode Networkであり、タスクと依存関係を明確で管理しやすいワークフローに構造化することで、それらを視覚的に表現します。変更は分野間で自動的に連動するため、複雑性があっても、チームはより短い時間でより多くの反復サイクルを得ることができます。

Hanwha Ocean社, General ManagerのKiho Lee氏は、最近公開されたNAPA Engineerをどのように活用して、コンテナのロード状態を大規模に自動化するという複雑な課題に取り組んでいるかを紹介しました。

2. 分断から統合へ

分断された設計フェーズ、手動でのデータ再入力、設計ワークフロー外での規則適合性チェックは、実際の設計の反復に使える時間を減らし、後工程でのコストのかかるエラーのリスクを高めます。この分断は、構造設計において特に顕著な課題です。

NAPA Steelは、船舶構造設計におけるこの課題を解決するために目的に応じて構築されています。何よりも重要なのは、基本設計から詳細設計のフェーズまで、構造的な健全性や建造戦略に影響する重要な意思決定が行われる場面で、単一の3Dモデルが使用されるということです。

この単一モデルの中で規定的評価と直接的な構造評価を結びつけることで、より迅速な設計の反復とより速い船級コンプライアンス評価が可能になります。NAPA Steelで生成される豊富な3Dデータは、船体生産や艤装設計で再利用可能であり、すべての関係者がアクセスできます。これにより手直しが減り、設計変更がしやすくなり、後の工程でのコストのかかるエラーを回避できます。

船級協会による承認も、この課題をさらに難しくする要因となります。一般に、設計上の意思決定は早い段階で行われますが、コンプライアンスに関するフィードバックが届くのは遅くなりがちです。設計と船級の間での反復作業は進行を遅らせ、複数のツールや引き渡しの発生は設計時間とリスクを増大させます。User Meetingでは、Lloyd’s Register社とNAPAが既にこの課題への取り組みで協力している様子を見ることができました。

Lloyd’s Register社よりCatriona Hall氏(Product Owner)、そしてSeon-Ae Lee氏(Producr Manager)が、統一されたネットスキャントリング規則セットと、NAPAの3D設計環境を中心に構築された統合デジタルワークフローを通じて、構造的な分類フレームワークをいかに現代化しているかについて概説しました。Emma Fischer氏(Lloyd’s Register社、Software team Manager)、そしてKristoffer Brink(NAPA、Product Owner)が、規定的評価を含むLRの次世代ルールエンジンが、NAPA Designer内で直接動作するようになる仕組みを説明しました。本質的には、コンプライアンスが設計プロセスの一部となり、同じ環境内で一体的に進化することで、初期段階の船体設計と計画承認を効率化します。

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3. AI人材不足からAIによる生産性向上へ

市場がより多くの船舶を求めていることは良いことですが、専門家の数はその需要に合わせて増えていません。造船工学を習得するには何年もかかり、専門知識は一晩で築けるものではありません。船舶設計の中核となる知識・技術に関して、人材不足は現実の課題です。

NAPAの強みは常に、ニーズに応じて構成できる柔軟なツールにありました。専門知識やプロセスに関する知見をNAPAのカスタマイズ性と組み合わせてきた人々は、従来の方法を大きく上回る成果を生み出すことができています。これは確かな強みですが、その障壁は急な学習曲線でした。その障壁は今、低くなりつつあります。

User Meetingでは、NAPAのソリューションと新たに登場しているAI搭載ツールが、どのように造船設計者の生産性を高められるかを紹介しました。Haseeb Shehzad(Senior Software Developer)、そしてHanmin Lee(Senior Technical Consultant)が、NAPA Steelユーザーを対象に、NAPA Designerにおける構造設計向けのAI支援C#スクリプティングに関するワークショップを実施しました。

NAPAのソフトウェア開発者であるLari Haapaniemiが、NAPA USER MEETING2026のNAPAショールームでAIプロダクティビティツールを発表しました。

Lari Haapaniemi(Software Developer)、そしてJaakko Carlstedt(Senior Software Developer)が、NAPAが統合型AIプロダクティビティツールをどのように展開しているかを紹介しました。これにより、例えばNAPAの概念を説明したり、それを活用して自動化されたワークフローやツールの作成を容易にしたり、自然言語をマクロやスクリプトに変換したり、既存の設計やデータを活用したりすることで、ユーザーの生産性を高めることができます。これらはすべてNAPA DesignerとNAPA Engineerに直接統合されています。

4. 実際の運用条件に対応した将来性ある設計

最後になりますが、海事分野の脱炭素化は商業上の基準を再構築しており、船主はカーボンコストを正確に評価するために、保証された航海速力だけでなく、実際の海上性能データをますます求めるようになっています。この課題が新造船契約にどのように影響しているかを示す例として、今年初め、ジャパンマリンユナイテッド株式会社と日本郵船株式会社は、実海域での船舶の推進性能を契約上の保証とするVLCC契約に署名しました。

NAPA USER MEETING2026のNAPAショールームで紹介されたNAPA Operational Simulation

NAPA Operational Simulationは、実海域の船舶の推進性能データへのニーズに応えるものです。ユーザーは実際の航路や気象条件で設計をシミュレーションし、それが実際にどのように性能を発揮するかについてデータに基づく根拠を得ることができ、これは初期の設計ワークフローに直接接続されています。これにより、鋼材を切断する前に、将来性のある設計や全体的な設計判断を行うことが可能になります。

User Meetingでは、Antti Pösö(Product Owner)が、Haseeb Shehzadと共に、NAPAの信頼性の高いプラットフォーム上に構築されたNAPA Operational Simulationが、航海最適化、ルーティング、気象・環境データを統合し、性能モデルに基づいて船舶設計の燃料費・コスト削減を予測する仕組みを紹介しました。

未来を共に変革する

記録的な受注量、戦略的優先事項としての造船、そして前例のない投資からの需要に応えるためには、業界は船舶設計プロセスを効率化し、各フェーズのサイクルタイムを短縮しなければなりません。この機動性を実現するには、シームレスな協働が必要であり、私たちはNAPA User Meeting 2026で、この開かれた建設的な姿勢を豊富に目にしました。

この協働の必要性こそが、NAPA User Meetingのようなイベントが重要である理由です。今日の課題を単独で乗り越えられる企業はなく、このイベントは、造船会社、設計事務所、船級協会、学術機関が実際の課題をどのように解決しているかを共有し、次に何を作るべきかを形にし、イベント自体を超えて長く続く関係を築く、貴重な場であり続けています。

私たちが動く人工物として最大級のものを設計・建造し続ける中で、私たちと共に船舶設計の未来を形作ってくださったことに感謝いたします。

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