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Information Hub: 船舶設計の技術革新を推進し、実際の課題を解決

設計の自動最適化や情報共有の改善、3D設計・承認プロセスなど、私たちは日々パートナーと協力し、新しい設計プロセスの創造に取り組んでいます。

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直面する設計上の課題

今、造船業界はイノベーションを必要としています。これまでに培われてきた船舶設計業務は、設計者、船級協会、その他の関係者間のコミュニケーションを2D図面に依存しています。これは、創造性を制限し、コミュニケーションを減速させ、重複作業を産み、ミスを引き起こす可能性を増大させます。

さらに重要なことは、新しい低炭素燃料や風力推進などのクリーン技術に対応した設計など、関係者が脱炭素のためのイノベーションに協力する必要がある現在において、2D図面に基づくプロセスはその進展を阻害する可能性があるということです。新機軸船の設計では、設計者が新しいコンセプトを検討する際、迅速な設計の試行錯誤と総合的な分析が特に必要とされます。デジタル設計モデルを用いれば、さまざまな設計案を軽快にシミュレーションできるため、創造性の限界を押し広げ、信頼性の高い結果とともにアイデアを仮想的に検証することが可能となります。

設計プロセスの中に存在する主な課題には、以下のようなものがあります。

  • 脱炭素化、船舶の自律化、安全性確保のための規制強化などにより、船舶の設計に新たな困難が発生しています。
  • 設計者は、技術的な検討事項の増加や規則の複雑化により、設計負荷増やリードタイム長期化の課題に直面しています。つまり、複雑化に上手く対応する(= managing complexity)必要があるのです。新エネルギー源を利用した革新的な船舶の開発には、従来の経験だけに頼らない設計が求められますが、これは言わば、経験に基づく設計手法の限界を示しています。

新しい設計プロセスを創造することで、これらの課題を解決するとともに、新たな可能性を切り開くことができます。たとえば、以下のようなことです。

  • 設計段階に作成した3Dデジタルツインを、船舶の建造や運航の事業に活用することに関心が高まっています。従来の売り切り型ビジネスモデルからの脱却を目指す造船所もあれば、より高度な船級サービスの提供を目指す船級協会もあります。これには3Dデジタルツインが欠かせません。
  • これは、より効率的で安全、かつ持続可能な海運を目指す積極的な動きがある一方で、2D図面をゴールとした従来の設計プロセスが、この動きを阻害しています。なぜなら、たとえ設計が3Dツールで行われたとしても、設計承認のために使用される2D図面が「正」の情報源として扱われるためです。

これらの課題を解決する鍵は、1つの3Dモデルを情報源としたモデルベースの設計、エンジニアリング、および承認プロセスであると言えます。NAPA は、お客様やパートナー企業と密に協力し、造船所が直面する課題に適した理想的な設計プロセスを目指して取り組んできました。私たちは、今年開催された国際学会COMPIT及びICCASでその成果のいくつかを発表しました。ここでは、これらのプロジェクトの概要をご紹介します。


船体構造最適化プロセスの合理化

NAPA – 住友重機械マリンエンジニアリング社 ICCAS 2022論文)

NAPAをプラットフォームとして、タンカーのミッドシップ構造を最適化するための完全自動設計プロセスを構築しました。

これにより、最適なミッドシップ構造の自動探索が可能となり、設計初期段階での大幅な時間短縮を実現しました。その結果、船体軽量化、コスト削減、性能向上などの新たな可能性をもたらし、より競争力のある収益性の高い船舶設計が可能となりました。

ミッドシップ構造設計の大幅な時間短縮を実現

このプロセスは、現在、実際の設計に活用され始めています。住友重機械マリンエンジニアリング社 (SHI-ME)が論文で述べているように、これは設計者に新たな能力(設計の標準化やシステム設計などのソフトウェアスキル)が求められる可能性を意味しているのが興味深いところです。詳しくはこちらをご覧ください。

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OCX:世界を変える新しい3Dフォーマット

NAPA-DNV社 COMPIT 2022論文)

設計者がより緊密に協働するためには、共通のフォーマットが必要です。同じ設計情報を異なるシステムに入力しなければならない重複作業はよく知られた問題ですが、OCXフォーマットがその解決策の一つとして期待されています。

2016年にDNV社が立ち上げた業界共同プロジェクトを通じて、造船業の新たな業界基準となる可能性を秘めた共通3Dフォーマット(OCX)が開発されています。

そこでNAPAでは、構造設計に特化した機能を生かし、OCXの全仕様に対応したImport/Export機能を開発しました。外部の3D CADで作成したOCXファイルをインポートし、NAPAのネイティブ形式の構造モデルや区画モデルに変換することが可能です。図面、数値出力、FEM、NAPA Viewer、3Dデータエクスポートなどの機能にご利用いただけます。

またNAPAは、DNV規則計算ソフトの直接連携をサポートしています。これにより、OCXを通じて両システムをシームレスに連携させることができます。これにより、より迅速な設計の試行錯誤が可能となり、ユーザーは最適な設計を追求しやすくなります。

OCXベースのNAPA 3Dモデルから規則確認用パッケージの断面図を生成

DNV社の協業を行ってきたか、またOCXにはどのような技術的な可能性があるかについて、より深く理解されたい方はこちらをご覧ください。

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効果的な3D設計・承認プロセスの構築

(日本海事協会 – NAPA – 日本シップヤード社 ICCAS 2022 論文

2D図面の代わりに設計時に作成した3Dモデルを船級承認に使用する3Dモデルベース承認は、一見すると魅力的なコンセプトですが、設計・承認担当者からは必ずしも歓迎されていないのが実情です。彼らは、より良い船を効率的に設計することには興味があっても、それを3Dで承認するための方法論にはそれほど関心がありません。作業の分断、互換性の問題、3Dで設計情報を確認する際の視認性の問題など、設計プロセスにおける現状の問題を解決せずに3Dモデルベースの承認を強行すると、プロセスを合理化するどころか余計な作業を発生させ、マイナスの結果になりかねないと指摘しています。

日本海事協会 – NAPA – 日本シップヤード社 (NSY)によるプロジェクトは、これらの課題に真正面から取り組みました。

NAPAのAPI技術を使ってシームレスな連携を実現し、設計情報の情報源としてプロセス全体を通じて3Dモデルを活用し、最新状態に維持する方法の詳細については、こちらをご覧ください。このようなシステム間の直接連携は大きな可能性を持っており、今まさに普及が始まっているところです。

また、3Dモデルにおける視認性の問題への対応として、すべての関係者がNAPAモデルを容易に確認できるウェブブラウザベースのNAPA Viewerを開発したことについても紹介しています。このViewerには、3Dモデルの利点と従来の2D図面の利点を組み合わせた特別な自動注釈ツールがあり、検証者が設計情報を素早く直感的に見つけることができるようになっています。

「統合」によって設計・承認プロセスはどう変わるか

詳しくはこちらをご覧ください。

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船級承認のための容易で効率的な構造評価プロセス

(KR – NAPA ICCAS 2022論文)

設計環境がより複雑になる中、優れた船舶設計を実現するためには、作業効率の向上が不可欠です。その上、各種検討のために複数の専用ソフトを扱わなければならない状況下では、高度なユーザー体験(UX)が求められます。そこでNAPAと韓国船級協会(KR)は、NAPA SteelとKRの構造強度計算ソフト「SeaTrust-HullScan」を直接連携させるソリューションを共同開発しました。その結果、非常に効率的で使いやすいソリューションを開発することができました。詳しくはICCAS 2022の論文をご覧ください。

本システムは現在、韓国の造船所で使用され始めており、お客様の声をもとにさらなる改良が予定されています。

KRのSeaTrust-HullScanは、NAPAから本船 の複数の断面データをワンクリックで取込可能

詳しくはICCAS 2022 論文をご覧ください。

論文をダウンロードする

イシューからはじまる” DXで成功に導く

 今年のCOMPITとICCASの国際会議で、私たちは構造設計における3Dモデルベースの設計、エンジニアリング、及び承認に関する取り組みを紹介しました。そこでは、NAPAプラットフォームという1つの情報源に、複数の実用的なツールを統合することを試みました。私たちは、3Dモデリングやプロセスに関する継続的な開発が、長期的な技術革新の実現に寄与するものと考えています。

これらのプロジェクトから得られた最大の学びは、ユーザーや関係者が直面している根本的な課題や困難の解決に役立つソリューションを提供することの重要性です。

デジタル化、脱炭素化など業界環境が急速に変化する中、関係者やお客様との協働により、共に課題に取り組み、海事業界やお客様の真の価値につながるソリューションの提供に努めてまいります。

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