February 13, 2026
OCXで広がる可能性─船舶設計と安全性を次の段階へ

OCXは、造船のデジタル基盤を再定義しています―その可能性は、3Dモデルベース承認にとどまりません。OCX コンソーシアムの中核メンバーとして、NAPAは構造承認、有限要素法(FEM)データ、復原性解析を統合したモデルベースのワークフローを推進し、より賢く、より安全で、よりシームレスにつながる船舶設計を実現します。
OCX コンソーシアムと相互運用性フォーラム(Interoperability Forum)は、2021年からOpen Class 3D Exchange Format(3D OCX)の開発に取り組んでいます。これはAPPROVEDプロジェクトを拡張する取り組みで、3Dモデルベースの船級承認プロセスを支えるデータフォーマットの確立に主眼を置いています。NAPAは当初からフルメンバーとして参画し、規格策定とそのソフトウェア実装の両面で積極的に貢献しています。すでに最初のプロジェクトでは3Dベースの承認プロセスが活用されはじめており、業界は従来の2D図面中心のやり方から、3Dモデルベース承認へと舵を切りつつあります。
この進化の中心にあるのが、Open Classification 3D Exchange(OCX)フォーマットです。これは、もともと船級承認を効率化する目的で開発された、船体構造の3Dモデルを交換するための標準化手法です。
しかし、OCXにはさらに多くの可能性があるとしたらどうでしょうか。最近の研究と業界の協働は、OCXの可能性が当初の枠を大きく超え、船舶のライフサイクル全体にわたって新たな効率化と安全性の向上をもたらし得ることを示しています。
構造承認から多分野統合へ
OCXは、構造図承認プロセスにおける手作業の検証や2D図面を置き換える目的で設計されました。モデルベースのワークフローが成熟するにつれ、関係者は多分野横断の船舶設計におけるOCXの価値を探り始めています。現在の適用範囲には、次のようなものが含まれます:
- CAD間のモデル受け渡し
- FEMモデルの生成
- 規則要件の検証
- 船級協会と設計ツール間のコメント自動連携
重要な革新点の一つがカスタム属性の活用です。これにより、OCXスキーマ内の任意の要素に、キーと値の組み合わせによるメタデータを柔軟に付与できます。標準定義を変えることなく、腐食予備厚や密閉性といった属性を含む専門的な業務シナリオに対応できるようになります。
実務への拡張:FEM、データ共有、データ出力
FEMモデルの統合
OCXは現在、FEMデータの一元的な供給元として機能でき、Nastran、ANSYS、DNV Sesam、Abaqus といった各種ソルバ形式をサポートします。ノード、シェル要素、線要素向けのカスタム属性でOCXを拡張することで、FEMモデルを構造階層の中に直接埋め込むことが可能になります。これにより、次のようなメリットが生まれます:
- 構造オブジェクトや区画ごとにFEM要素を自然にグループ化
- NAPA DesignerなどのツールへFEMモデルを自動インポート
- 荷重定義や腐食解析のワークフローを効率化

情報とデータ共有
造船には、多様な関係者と専門的なアプリケーションが関与します。OCXの標準化された構造は、製品ライフサイクル管理(PLM)システムとの連携を支え、デジタルスレッド(設計から運用までをつなぐデータの連鎖)の構築を後押しします。さらに、業界オントロジー(語彙・概念体系)、たとえばSFIコード分類体系を取り込むことで、調達、コスト見積もり、ライフサイクルのデータ管理を秩序立てて構造化できます。この進展により、3Dモデル内に埋もれた産業データに対して、知識グラフやSLM/LLM(小規模/大規模言語モデル)のアプリケーションを活用することも可能になります。
データ出力と材料表
鋼材重量と資材リストの正確な見積もり・管理は不可欠です。OCXの柔軟なラベル付与とグループ化の機能により、設計者は造船会社の慣行や基準文書に合わせてデータを整えられるうえ、調達や不整合・誤りの検出に向けた詳細な内訳にも対応できます。
復原性のためのOCX:安全性の新時代
おそらく最も変革的な拡張は、復原性解析と承認へのOCXの活用です。区画隔壁、ドア、閉鎖装置といった水密性に関するデータを3Dモデル内に直接埋め込むことで、OCXは次のことを可能にします:
- 水密境界と開口部の自動検証
- 設計から承認、さらに船上監視までの一貫したデータフロー
- 区画の問題の早期検知と、SOLAS条約/MARPOL条約/IBCコードの要件適合

NAPA Stabilityとの連携により、浸水シナリオの直接シミュレーションが可能となり、決定論的および確率論的な損傷復原性評価の双方を支援します。この統合的アプローチは、手作業を削減し、誤りを最小化するとともに、運航の安全性と意思決定支援を高めるデジタルツインの実現に道を拓きます。
結論:造船のデジタル基盤へ
3Dの構造承認を超えてOCXを拡張することで、次のような大きな利点が得られます:
- 規則適合と復原性解析の自動化
- 設計・承認・生産・運航をまたぐデータ共有の効率化
- リアルタイム監視と脆弱性評価による安全性の向上
業界が船舶データの「単一の信頼できるデータ源」(single source of truth)を志向するなかで、OCXは設計・承認・運航のデジタル基盤を構成する中核要素として位置づけられつつあります。これにより、より早い段階でのフィードバック、後工程での変更の抑制が可能になり、海事工学により安全で効率的な未来をもたらします。