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【顧客事例:MV Werften様】 NAPA Steelを使って複雑なクルーズ船の設計プロセスを変革

Background:背景

MV Werften社は、親会社のGenting社とその3つのブランド(スタークルーズ、ドリームクルーズ、クリスタルクルーズ)を代表して、ドイツで3か所の工場を運営している大手造船会社です。

過去15年でクルーズビジネスは世界的に成長を遂げ、数多くの新しいクルーズ船が建造されてきました。

しかし、クルーズ船を建造できる造船所は世界的に見ても限られているのが現状です。それはなぜでしょうか? 客船固有の高度な安全性要件を満たした上で、目の肥えた乗客の要求に応えられる、非常に難易度の高い設計技術が求められるからです。

MV Werften社を通じて造船チームを社内に取り込むことで、Genting社は必要なときに必要なだけ自社の船を建造し、最新の設計を取り入れながら建造する能力を獲得してきました。

クルーズ船建造の先導者として、MV Werften社は、スタークルーズ、ドリームクルーズ、クリスタルクルーズ向けの船を供給する上で、自社の設計プロセスの更なる効率化と合理化を常に追求しています。

Approach:課題への取り組み

ドリーム・クルーズの208,000GTクルーズ客船「グローバル・クラス」のようなクルーズ船の設計は、けた外れに複雑な作業です。高度な技術要件を取り扱う複数の異なる分野の設計を同時並行で進め、それらを1つの共通の構造に統合する必要があります。

さらに、クルーズ客の進化する要求に応え、かつ、スタークルーズ、ドリームクルーズ、クリスタルクルーズをそれぞれのニッチ市場で差別化するためには、革新的で斬新な設計が必要とされます。近年では、例えば、テーマパークがほぼ丸ごと1つの船に含まれる事例も見られます。

設計の進化に伴い、MV Werften社も進化してきました。同社は従来的な直線型の設計プレセスから、異なる分野の検討を同時に進める同時並行型の設計プロセスへの移行をすすめています。しかし、その導入には自社特有の課題があります。MV Werften社は、3つの造船拠点があり、約500人のエンジニアが働いています。また、最大600人の設計・建造関連会社がおり、それぞれの船には最大2万件の建造関連文書があります。さらに、それぞれの船で平均250件以上の設計変更が建造中に必要になることもあります。

近年得てきた主な教訓には以下の3点があります。

  • 一般配置図(GAP)、NAPA Steelモデル、強度計算用モデルをそれぞれ個別に作成し使用することは効果的ではない
  • インテリアデザイナー、機装・艤装チーム、建築家との共同作業には、強度計算用モデルは不向き
  • 設計変更に即座に対応するために、構造設計と強度計算の高速化が求められる

MV Werften社の計算サービス部門の責任者であるMichael Zimmermann博士は、2017年のNAPAユーザーミーティングでNAPAスタッフや造船設計者仲間との会話に触発され、ヘルシンキからの帰国中の機内で、これらの障害を取り除くための構想を練り始めました。
ドイツ帰国後、Zimmermann博士は、概念設計と基本設計のプロセスを高度に合理化するため、NAPAとの協力の下、新しい設計手法の開発に着手しました。

Solution:解決策

NAPA Steelを用いることで、中核となる1つのプロダクトモデルが作られ、それらは構造設計と強度計算のための共通情報として使用することができます。さらに、一般配置図や造船所独自の製品データに直接リンクすることもできます。このプロダクトモデルは、船の内装、艤装、機器類の詳細な配置検討をすすめるための”たたき台”としても機能します。

これにより、すべての設計分野が緊密に結びつきます。各分野の検討に同一のモデルを使用することにより、様々な情報の齟齬が生じるリスクを防ぎ、整合性を保つことができます。このように、データの整合性と一貫性を改善することで、設計におけるミスの低減に貢献します。

MV Werften社では、数多くの業務を自動化するために、NAPA DesignerのC#スクリプトを用いたカスタマイズが積極的に行われています。これらのカスタマイズツールをNAPA Designer内に統合することで、設計の時短化が図れ、設計変更が生じた際にも即座に対応できるようになります。

Results:成果

1940年から1995年までの55年間で、最大客船の記録は2度変更されました。しかし、1995年以降の24年間で、その記録は11回も更新されています。サイズが大きくなるにしたがって複雑さが増したものの、設計プロセスに大きな変化はありませんでした。

MV Werften社の計算サービス部門の責任者であるMichael Zimmermann博士は、「NAPAと協力することで、我々が建造する船舶の複雑さと高度さが大幅に増加したにもかかわらず、プロセスの改善と目に見える効率化を実現しました」とコメントしています。

また博士は、「MV Werften社の概念設計と基本設計のための基幹ツールとしてNAPA Steelを導入することに成功しました。市販の代替ツールよりも効果的であることも実証できました。3Dモデルに情報が整理・統合され、そこからより多くの情報が得られるからです。」と続けています。

これらの変革の結果、品質と精度がプロセスに組み込まれることで、エラーが少なくなり、設計スピードと変更への対応力に著しい改善が得られました。さらにMV Werften社では、C#スクリプトを用いた自動化により、スピードと設計品質をさらに向上させる大きな可能性があると期待しています。

 

お問合せ先:
NAPA Japan株式会社
T: 078 325 2160
E: japan@napa.fi 

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