December 1, 2025
FuelEUマリタイムでセミナー開催 ナパ、規制対応など実務を解説
日本・東京 — 2025年12月1日
海事プレス(ニュース ー 海運<経営・全般>)において、11月27日に東京・丸の内で開催したFuelEU Maritimeに関するセミナーの記事が掲載されました。Ahti Climate社、Skuld社にもご登壇いただいた本セミナーの内容をぜひご覧ください。

船舶の設計・運航システムを手掛けるナパ(NAPA)は27日、「FuelEU Maritime規制対応・契約・プーリング実務セミナー」を開催した。欧州の燃料規制「FuelEUマリタイム」について、NAPAとP&Iクラブのスクルド社とプール運営会社アフティ・クリメイト社が、規制対応や契約、プーリングの実務面での影響について紹介した。
NAPAからオッシ・メッタラプロダクト・マネージャーが登壇し、海事産業を取り巻くGHG排出規制の最新動向を紹介したうえで、FuelEUマリタイムの概要と実施スケジュール、GHG排出量のモニタリングにおける実務的・技術的課題を解説した。FuelEUマリタイムでは2020年を基準として5年ごとにGHG強度の上限値が強化される。船舶のGHG強度の上限値の余剰分や不足分(コンプライアンス・バランス)については、複数隻で合算して管理するプーリングや、余剰分を翌年以降に繰り越すバンキング、翌年の余剰分を前借りして使用するボローイングの3つの手法で管理することができる。なお、不適合が生じた場合の不足分は、VLSFO相当の燃料1トンあたり2400ユーロのペナルティが科されると解説。実務的な課題について言及したうえで、NAPAのサービスで船隊や個船ごとの順守状況のモニタリングや、バンキングやモニタリング、プーリングなどの最適化も可能になると紹介した。
スクルド・ジャパンからはクレーム/アンダーライティング業務担当エグゼクティブの藤原綾香氏と、クレーム部門長兼アシスタント・バイスプレジデントの田島裕一氏が登壇。FuelEUマリタイムの契約面やリスク管理上の影響について解説した。FuelEU Maritimeの責任とコストを用船者に転嫁することを目的とするBIMCO条項について、不明瞭な点もあるとしつつも同条項を取り入れない場合は船主と用船者双方にとって法的空白が生じ、法的・商業リスクとなると説明。その上で、BIMCO条項に基づき船主と用船者それぞれの目線でリスクや契約時の注意点、修正案を提案した。また、プール参加時の留意点についても解説した。
アフティ・クリメイト社はリスト・カリランタCEOが自社のプーリングの仕組みや運航効率、コスト管理などについて紹介した。コンプライアンス・バランスにおいて、バンキングやボローイング、ペナルティのコストや課題を比較したうえで、プーリングがコスト効率の高い解決策だと語った。
*海事プレスから転載の許可を得ています。
海事プレス記事:https://www.kaijipress.com/news/shipping/2025/12/197581/
PDF:FuelEUマリタイムでセミナー開催ナパ、規制対応など実務を解説
海事プレスURL:https://www.kaijipress.com/