Skip to content

NAPAとNaval Groupの重量・復原性サービスチームは、艦艇の設計と運航をよりシンプルにするために協力しています。商船とは異なり、艦艇の復原性解析や計算には包括的で協調的なアプローチが求められます。常に進化する船級規則、商船関連規則、海軍規則に対応するため、艦艇の設計には高度な技術力、規制への深い知見、そして先進的なソフトウェアの活用が欠かせません。NAPAでは、船舶のライフサイクル全体を通して単一の3Dモデルを使用することで、復原性管理の一貫性を保ち、工学計算の精度を確保し、設計部門以外のチームでもスムーズに復原性情報へアクセスできる環境を提供しています。

NAPAソリューションを活用したNAVY Groupによる多目的艦の設計

艦艇は、海事業界でも最も複雑なエンジニアリングの結晶です。限られたサイズの中で高い構造強度を実現し、幅広い任務に対応するため、厳格な船級規則や安全基準に準拠した精緻な設計とエンジニアリングが求められます。

フランスに本社を置くNaval Groupは、海軍防衛分野のグローバルリーダーとして、設計データと運航データを統合し、NAPAの高度なデジタルツールを活用することで、こうした課題を乗り越えてきました。船舶の重量見積から建造プロセス、運航中の管理に至るまで、13名から成る重量・復原性サービスチームはNAPAの技術を用いて復原性解析を行い、規制基準を満たすことはもちろん、安全な運航を支えています。

背景:海軍が求めるものとは?

FDI(Frégate de Défence et d’Intervention)型フリゲート — Naval Groupが設計・建造した4,000トン級フリゲート
BPC(Bâtiment de Projection et de Commandement)ミストラル — Naval Groupが設計・建造

海軍艦艇は、機雷除去、潜水艦戦、兵員輸送、沿岸防衛など多岐にわたるニーズに対応しなければなりません。そのため、コルベット艦やフリゲート艦から空母まで、任務に応じて設計が大きく異なります。たとえば空母の場合、通常のタンカーとは異なり、艦内に小型艇を収容できる構造や、バラスト調整など、特殊な復原性解析が必要です。

シャルル・ド・ゴール空母 — 2013年、整備のためドックに入渠した際の様子

艦艇の基本設計は大きく変化していないものの、設計を検証するプロセスは年々詳細化しています。商船関連規則や海軍規則に加え、船級協会の要件も安全基準を担保するため定期的に更新されます。
その中で最も重要な課題のひとつが、設計段階から運航段階に至るまで復原性を適切に管理することです。しかし、複数の関係者が関わり、進化し続ける規則や運航上の多様な条件を踏まえる必要があるため、これは容易ではありません。

さらに、海軍運航は機密性が非常に高いため、設計者、技術提供者、船級協会、運航者といったすべての関係者がデータの安全性を確保する必要があります。そのため、初期設計から型式承認、運航段階に至るまで、単一のプラットフォーム上でデータを管理し、安全で閉じたエコシステムを構築することが重要です。

20年近く続くパートナーシップの中で、Naval Groupの重量・復原性サービスチームは、高度な復原性計算・解析の取り組みや、協働・透明性・効率性・安全性を実現してきた経験を共有しています。

.

NAPA 3Dモデルで関係者間の
円滑なコミュニケーションを実現 

復原性は艦艇の運航性を決定づける重要な要素です。Naval Groupは、単一のNAPA 3Dモデルを活用し、基本設計から中期改修に至るまで一貫した復原性計算と解析を実施。これにより、すべての工学計算を同じモデル上で正確に実行できる体制を整えています。

NAPA Designerで復原性解析用に作成されたデモ艦艇の区画モデル

復原性解析は、まず重量見積を基に船舶の3Dモデルを構築することから始まります。船体寸法や配置などの基本データを取り込み、排水量や重心位置を把握します。

プロジェクトが進むにつれて、3Dモデルも同様に詳細化され、たとえば主要隔壁周辺の情報など、船舶のより細かな構造データが組み込まれていきます。これにより、非損傷時・損傷時復原性の解析を行うことが可能になります。こうした知見によって、海軍の技術者たちは高さや重量分布に関する制約を正確に把握できるようになりました。特に、艦艇特有の限られたスペースや補機類を配置する必要性を考慮する上で、この情報は非常に重要です。

ロレーヌ(Lorraine) — FREMM(Frégate Européenne Multimissions)型フリゲートのFREMM DA(防空型)バリアント、Naval Groupが設計・建造

船舶のライフサイクル全体で同じ3Dモデルを使用することにより、重量・復原性サービスチームはデータの一貫性を確保し、工学計算を正確に実行できるだけでなく、他の設計分野のチームもこの情報にシームレスにアクセスできるようになっています。この取り組みにより、Naval Groupは進化し続ける規則に適合し、最新の要件や顧客のニーズに沿った基準を策定し、さらにデータ共有の効率化を実現しました。しかも、こうした作業は既存のワークフローを大幅に変更したり、不整合を引き起こしたりすることなく遂行できています。

変化する規則への
迅速対応と確実なサポート

フリゲート・オーヴェルニュ(Fregate Auvergne)の船体 — Naval Groupが設計・建造したフランス海軍向けFREMM型フリゲート、ブレストにて

艦艇設計のプロセスでは、船級規則、商船関連規則、海軍規則、さらには設計詳細要件が常に進化しています。そのため、艦艇設計には高度な技術力、規制の知見、そして先進的なソフトウェアの組み合わせが必要です。この課題を、Naval Groupが単独で解決する必要はありません。

NAPAは、Naval Groupと緊密に連携し、専用マクロを開発することで、こうした動的かつ特有の要件に対応しています。このカスタマイズされたサポートにより、重量・復原性サービスチームはNAPAの機能を深く理解し、その潜在能力を最大限に活用できるようになっています。

Naval Groupの艦船設計士であるWilliam氏は次のように述べています。

「私たちは、NAPAに“何ができるのか”を教えてもらい、NAPAソリューションを新しいタスクにどう活用できるのかを知りたいと思っています。ほとんどの場合、NAPAは私たちが解決したい課題に対応してくれます……多くの答えを得ることができています。」

絶えず変化する規則や特殊な要件を踏まえた艦艇設計は、決して容易ではありません。しかし、統一された3Dモデルを艦艇のライフサイクル全体で使用することで、NAPAはNaval Groupを支援し、設計・工学部門の統合を促進するだけでなく、運航段階のチームがモデルやデータにアクセスして運航の最適化や艦艇の安全性向上を図ることを可能にしています。

Never miss a story

We will keep you updated on NAPA's insights related to the topics of your interest.